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世界を舞台にした個人対個人の宿泊仲介ビジネスモデル

前回(6/19)の記事(「自社の商品について、真剣に考えたのはいつですか?」)で、アベノミクスにおける宿泊業界への規制緩和について記載しましたが、今回は、その続きとして、実際に始まっている具体的なビジネスについてご紹介したいと思います。

「Airbnb」(エアビーアンドビー)というサービスをご存知でしょうか?
この会社は、2008年にカリフォルニアで創業され、旅行者と、その旅行先に家を持ち居住している人のマッチングサイト、いわゆる「宿泊仲介サイト」を運営している会社です。

旅行者(ゲスト)は、訪問する都市と、滞在日(チェックイン日とチェックアウト日)を入力すると、宿泊可能な部屋がリストアップされます。部屋は、貸切・個室・シェアルームの3タイプから検索でき、さらに価格帯にてフィルターをかけることができます。

気に入った部屋へのゲストから予約リクエストが承認されると、登録した支払情報に基づき、料金が一旦、Airbnbにて引き落とされ、部屋の提供者(ホスト)にはチェックインの24時間後にAirbnbより料金が支払われます。

Airbnbはゲストとホストの決済の間に入ることで、ゲストから6~12%(部屋料金に上乗せ)、ホストから3%(部屋料金から天引き)の手数料をそれぞれ受け取っています。

ビジネスモデル自体は、従来型のオンライン宿泊予約サイトを殆ど変わっておらず、
革新性は低めですが、部屋の提供者を、事業者(=ホテル)ではなく、個人としたところに新規性を見出すことができます。
今までも個人所有のコンドミニアムを事業者が借り上げ、もしくはホテル営業を受託して、
その部屋を、事業者が直接、もしくは宿泊予約サイトなどの販売代理店を通して、
旅行者に販売することは一般的に行われてきましたが、間に事業者が入らないという点が新しいといえます。

間に事業者が入らないことで、損益分岐が低く、類似した立地の部屋でもホテルより安価に設定されていることが最大の強みです。かつ、そこそこ部屋のセンスが良いのも特徴です。

すでに190の国、34,000以上の都市にて、宿泊できる部屋が登録され、1,700万人以上が、ゲストとして当サービスを利用したことがあるそうです。(公式サイトより)
事業規模では、たとえば宿泊予約サイト大手のじゃらん.netにおける
2013年7月~2014年6月の12ヶ月間の実績が7,350延泊であることを踏まえると、
まだまだこれからという段階と思っていただければと思います。

さてそんなAirbnbですが、日本での展開がどうなっているか、ですが……
たとえば渋谷区だけで171件の部屋が登録されています。
あくまでホテルの軒数ではなく、部屋数ですので、だいたいビジネスホテル1軒分くらいの供給です。

前回の記事でアベノミクスでの規制緩和した「旅館業法」との兼ね合いでいうと、
旅館業法自体は、「宿泊料を受領して、人を宿泊させる営業」をホテル・旅館として定義しているため、Airbnbにて登録された部屋については、本来はホテル・旅館として規制の対象となりますが、今のところ、部屋を提供している個人が、あくまで「一時的」に貸しているだけであり、「継続的」に貸しているわけではないという見解のもと、「寛大」な対応をしているというのが実状のようです。

国内では規制緩和の壁がありますが、事業者が提供していたサービスのサプライヤーを個人に切り替えることで、圧倒的に価格競争力を持たせるというのは、面白い試みだと思います。

折しも7/29に総務省から発表された住宅・土地統計調査結果(速報)によると、全国の空き家率が13.5%と前回調査時より0.4ポイント増加し、過去最高を記録したことが発表されました。人口の高齢化を踏まえると、今後の空き家率の上昇が確実視されるなか、新たなビジネスの可能性があるかもしれません。

山本 真輝
株式会社船井総合研究所
宿泊施設及び宿泊・観光関連企業の業績改善をコンサルティングフィールドとし、経営課題の解決に取り組んでいる。経営戦略の立案から現場オペレーション改善まで幅広いコンサルティング実績を有し、あくまでも「収益の最大化」を中心とした提案スタイルが多くのクライアントから評価を得ている。近年は業界関連企業(代理店・メーカー等)の商品戦略や営業戦略の構築、研修、講演なども手掛けている。