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IPO時に約40%の会社が対象!IPO視点での個人資産管理会社のメリットとデメリット

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IPOを目指す会社が、個人資産管理会社を利用する場合の留意点を東証の市場再編も踏まえて解説いたします。

はじめに

2019年に上場した会社のうち、個人資産管理会社を有していた会社の割合をご存じでしょうか?実は95社中38社、すなわち40%の会社が個人資産管理会社を有していました。皆様方は、意外にも多いと感じられたのではないでしょうか?

この現状を踏まえ、今回はIPO視点での個人資産管理会社のメリットとデメリットをお伝えさせていただきます。

個人資産管理会社のメリット

IPOをめざす会社は、収益性や成長性を有している会社ですので、投資家の将来収益の期待値が株価に織り込まれます。その結果、株価が上昇する傾向にあることから、相続税も多額になってしまいます。よって、相続税評価額を圧縮するというメリットを享受するために個人資産管理会社が利用されます。また、個人資産管理会社を設立することで、相続が発生したとしても相続税の対象資産が個人資産管理会社の株式であるため、事業会社の株式が分散するリスクを回避することができ、経営を安定化することができるというメリットがあります。

個人資産管理会社のデメリット

一方、個人資産管理会社のデメリットは、継続保有期間内は個人資産管理会社への株式移動はできないという制限を受けますので、個人資産管理会社へ株式を移動させるタイミングを考えなければなりません。さらに最もデメリットとなるのは、個人資産管理会社を通じて株式を売却した場合、個人が直接売却する場合に比べて税負担が大きくなり、手取額が少なくなることです。

東証の市場再編の影響

2020年4月の東証の市場再編に伴い、上場基準の見直しが行われます。JASDAQ市場は流通株式基準がありませんでしたが、今後予定されているスタンダード市場では25%の流通株式基準が設けられます。さらに、流通株式の定義が見直され、役員以外の特別利害関係者が所有する株式数は流通株式に含まれなくなりました。これからIPOをめざす会社にとって、オーナーが、個人資産管理会社へ譲渡する株式数をこの新基準を見越して決定しないといけないということです。そうしないと、流通株式基準を満たすために個人資産管理会社が株式を売却せざる状況になり、デメリットである税務上不利な扱いになってしまうことを留意しなければなりません。

最後に

このように個人資産管理会社は、めざす市場をどこにするかによっても対応が異なってしまうため、自社がめざす市場を見定めてから、対応するのが望ましいでしょう。個人資産管理会社により経営の安定化を最重視するのであれば、流通株式基準がない名証セントレックスや札証アンビシャス等を検討してみても良いかもしれません。

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坂口 孝幸
シニアコンサルタント
公認会計士二次試験合格後、大手監査法人にて、様々な上場会社及びIPO(公開準備)会社の会計監査に従事し、数社のIPO実現に立会(ジャスダック・東証マザーズ)。他、短期調査や内部統制アドバイザリー業務を行う。その後、東証一部上場会社において、経理管理者として経理業務に従事しつつ、関係会社に対する支援業務を行う。 2020年6月より株式会社船井総合研究所に参画し、シニアコンサルタントとしてIPO支援業務に従事。