6/17の「観光立国推進閣僚会議」にて、アベノミクスの第三の矢である
「成長戦略」にも盛り込まれている2020年までに訪日外国人旅行者を
現状の約2倍である2,000万人にするための新たな行動計画として、
「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2014」を策定しました。
本プログラムでは、
・『2020年オリンピック・パラリンピック』を見据えた観光振興
・インバウンドの飛躍的拡大に向けた取組
・ビザ要件の緩和や指定旅行会社の手続簡便化など訪日旅行の容易化
・世界に通用する魅力ある観光地域づくり
・外国人旅行者の受入環境整備(免税品目の対象拡大・免税店の増加・Wi-Fi整備など)
・MICEの誘致・開催促進と外国人ビジネス客の取り組み
を6本の柱とし、政府一丸、官民一体で取り組んでいく、とされています。
さて、2,000万人実現にあたっては上記以外にも、
旅行者の受け皿となる宿泊施設の整備の必要性も声もあるのですが、
そちらについてはどうなっているかご存知でしょうか?
実は成長戦略の国家戦略特(別)区(域)にて言及されています。
国家戦略特区とは、地域を限定して各地域の経済状況を踏まえた目標を設定し、
その目標を達成するために大幅な規制緩和を実施するもので、
東京圏(千代田区・中央区・港区・新宿区・文京区・江東区・品川区・大田区・渋谷区・
神奈川県・千葉県成田市)、関西圏(大阪府・兵庫県・京都府)、
新潟県新潟市、兵庫県養父市、福岡県が指定されています。
規制緩和内容としては、宿泊施設の運営にあたっては、
「旅館業法」という法律があり、その設備要件などが規定されているのですが、
上記地域のうち東京圏と関西圏では、旅館業法の要件を満たさない施設でも、
一定の要件を満たすことで外国人旅行者の宿泊を受け入れることができるとしています。
既存ホテルからは、宿泊客流出の懸念や、特定多数の出入りのある施設としての
安全管理の課題が指摘されているようですが、マクロ的には、
首都圏のホテル用地不足と人口減少時代の家余りを一気に解決する選択肢かもしれません。
従前より、リゾートセグメントでは、分譲のリゾートマンションをホテルオペレーターが運営し、
オーナーが滞在しない期間中を、ホテルとして貸し出すコンドホテルという形態が存在していますが、
将来的には、ホテルとレジデンシャルの境界線が曖昧になっていく、
というストーリーも想定されます。そうなるとホテルとしてはレジデンシャルとの差別化として、
新たな進化や独自性が期待されるはずです。古民家を改装したゲストハウスtoco.(2010年)、
倉庫改装のNui(2012年)などは、新たな進化や独自性のヒントともいえそうです。
本稿では、宿泊業界における規制緩和による競争環境の変質に直面したときの
取り組みテーマについて述べましたが、規制緩和自体は、宿泊業界に限らず、
多くの業界で起こりうることです。
皆様の施設(や事業)の商品を独自性の観点から見直してみましょう。
もしかすると大同小異に留まり、埋没しているかもしれません。
最後に商品自体について真剣に考えたのはいつですか?