船井総研の山本 匡です。
私はこれまでショッピングセンターや大型店舗の開発コンサルティングをおこなってまいりました。主な支援先として量販店、専門店、SCデベロッパーで年商100~1000億円規模のお客様を中心に担当させていただいており、流通・不動産業全般にわたり店舗開発という分野からのお手伝いをさせていただいております。
さて、近年複数のチェーン店とおつきあいさせていただく機会がありました。業種は各々異なりますが、調査の結果、これらのチェーン店に共通していることがありました。
それは「不振企業ほど不振店舗が多く、優良企業ほど優良店舗が多い」ということです。
「そんなこと、あたりまえじゃないか」と感じられましょうが、実際にはそう簡単ではありません。
不振企業に共通している要因は、「不振店舗をそれと分かりつつ閉鎖できない」ということであり、また「優良店=繁盛店がつくれていない」ということです。
閉鎖できない理由は、不振店をしめた場合、閉鎖費用が一時的にかかることと、社員の行き場が無いから閉めるに閉められないというのが大きな理由です。優良店が出来ない理由は、いい立地にしかるべき規模の店舗を持ちえていないということです。
一方、優良企業は「優良店=繁盛店を有している」ことと、「不振店を改装、増床、業態転換などのてこ入れを図るか、見切りをつけて閉鎖している」ということです。優良企業は一般的に毎年出店を繰り返していますから、閉鎖店舗の社員は新しい店を含めた他店に異動すれば良いということになります。また、優良企業は旗艦店といえる繁盛店舗を有しており、それが社員の精神的支柱となっているということです。
もちろん、不振企業も優良企業も一朝一夕にこのような状況が生まれたわけではなく、10年程度の間隔で変化してゆくなかで、このような状況が生まれてきたわけです。また、今回は流通業をテーマとしたお話をいたしますが、別の業種業態でも同じようなことが起こっているのではないでしょうか?
では、どうしてそのような変化が起こってしまったのでしょうか?そのプロセスについて次回よりいくつか事例をもとにご紹介させていただきます。