アパレル産業では店舗スタッフの教育が昔から課題になってきました。しかしその真実の姿はミーティングを繰り返し、各人各様に工夫をするものです。ファッション情報は自己研さんの範疇で休日のウィンドーショッピングをして吸収し、雑誌を購読して勉強しましょうというパターンです。このレベルは間違っているとは言いませんが基本の基本であり、20年~30年前から大きく変わったものではありません。
私がお勧めし、推進しているのはEラーニングとネットの活用です。展示会時にショップスタッフが集まって商品説明をMDから聞いて今シーズンのポイントやお勧めどころを勉強したりする姿などにも改善が必要です。能動的に動かなければ学習できないのではなく、自然と学習できる姿が現代的であり、正しいと思うからです。
このような展示会時に商品説明会やコンベンションと呼ばれるような取り組みにおいては、動画撮影をお願いしていますし、海外視察時にも許可を得て社内研修用にデジタル写真や動画を撮影し、その情報をクラウドにあげていつでもどこでも=通勤途中でも、お昼休憩時にでも情報収集したり勉強したりすることができるような環境を整備することが重要です。
さらに中途半端なロールプレイングを店舗で実施するよりも、優秀販売スタッフもしくは企画担当者自身が具体的に商品説明し、基礎的商品知識教育、販売技術教育を録画していつでも24時間勉強できるような環境を整備することがより重要になっていると思います。特にマルチブランド展開をしている企業や販売代行業者に店舗を任せている場合などにおいては、本社の担当者が思っているほど、現場での勉強は容易ではありません。
多数のブランドから次から次への商品が送り込まれてくれば、展示会時のことなど思い出す余裕もなく品出し、販売に明け暮れる毎日が続いてしまうのです。まさに勉強が勉強のための勉強、イベントがイベントのためのイベントになってしまっていると思うのです。利益は店頭での販売によって生み出されるのが小売業です。ですから店頭での状態、完成度の向上に企業として真剣に取り組む必要があるのです。
そのためには近年の社会、生活に最大の影響を与えてIT、ネットの活用が不可欠だと思うのです。しかしこの部分の研究はアパレル業界では意外に進んでいないのが実態で、先進経営企業と旧来型アナログ型経営企業との格差は広がるばかりだと思います。