経営コンサルティングを依頼される局面は、好調ゆえに更に業績を伸ばしたいという意欲的積極的な会社様が多いものですが、一方で経営不振ゆえ再建したいというニーズもあります。とくに中小企業の再建にあたって、自らの経験から申し上げますと、手順は以下のようになります。
【1】現状診断を実施して、どこに強みがあり、どこに致命的な問題点があるかを探る
【2】強みを伸ばす一方で致命的問題点を改善してゆく
【3】新しい商品・領域にチャレンジを拡大してゆく
文章で書くと、ありきたりな内容でしかありませんが、この一連の取り組みに並行して発生するのが「人材の移り変わり」です。
【1】のステージで、会社と過去になにかあった人たちが去ってゆきます。
【2】のステージでは、新しい方針についてゆけない人たちが去るとともに、これまで目立たなかった人たちが力を発揮してくださるようになります。
【3】のステージにおいては、外部から新しい人材が流入してきます。
経営は人の集まりであり、現場はそれを動かす人がいないことには動きません。志ある人たちを動かしてゆくために、正しいメソッドが必要となります。それが船井流の「長所伸展」です。再建が必要な会社ほど、過去長期にわたって「負けぐせ」がついており、予算をたてても達成できない、競合が出来たらお客様を奪われる、人を募集してもいい人が来ない、などといったネガティブな発想がしみついてしまっていることが多いものです。
こういう場合、すぐにできる小さな成功体験を数多く現場の方々に体験していただくことが大切です。売場をすこし変化させたら売上げが上がった、POPを工夫したら、接客を工夫したら売上げが上がった。価格設定を見直したら利益率が上がった、などなど、どんな小さなことでも「勝つ」ことを重ねて自信を回復することが大事なのです。
小さくても「勝つ経験」を重ねてゆくこと。そのためには長所を見出し、それを伸ばすこと。もちろん致命的な欠点は対処しなければなりませんが、そこにいくらフォーカスしても現場は変わらないどころか、むしろ悪化します。欠点指摘をされても成功体験は積み上げられないし、なによりやる気が出ません。否定されて頑張ろうという意欲はわいてこないのです。
きわめてシンプルな法則ではありますが、再建という難易度の高いことほどベーシックな原理原則を理解して取り組むことが大切です。