昨年後半から急速に増えてきた案件に「ファンド」からのビジネスデューデリジェンス(=BDD)依頼があります。このBDDは、ファンドが投資対象としている企業の状況やM&Aを実施した後の価値向上(=利益向上)を実施する余地がどれほどあるのか、あるとしたらそれはどのような手法か、を調査しアドバイスするものです。
この業務が今年に入ってからは、さらに加速しています。これは、お金が向かう方向とも連動しています。まず、世界でみると、比較的好調といわれるエリアは、アメリカと日本。中国は失速状態にあり、それにつられてアジア新興国も低成長ぎみです。もう一つの新興勢力である南米経済も、ブラジルの失速などパッとしない状況です。また、ヨーロッパは、南欧問題が根深く、未だにくすぶった状態です。ロシアやアラブ経済は、原油安により、厳しい状態に入っています。
そのため、国家間では、お金の行き場がなく、アメリカや日本にお金が戻ってきている状態といえるでしょう。ただ、日本国内は、大手企業の業績が好調であるも、円安による原材料高が響いて中小企業はやや厳しい状態ですが、受注が戻ってきており何とか一息ついているというところでしょうか。そこで、株式にお金が向くのではなく、M&A資金にお金が動いている感があります。時を同じくして日本国内は、現在、団塊世代が経営層を引退する最後の時期にさしかかり、中小企業におけるM&Aブームが起こっていることも主要因の一つといえるでしょう。この傾向は続きそうです。
特に日本は、オリンピック景気を期待する感が大きく、企業もオリンピックまでは何とかがんばるが、その後は??というところも増えています。そのため、2020年~5年が企業再編の大きな節目になるであろうと思われます。その時点で市場優位を確立している企業が、再編の中心に位置することは目に見えています。この時流をどう掴むかは、この5年が勝負どころといえるでしょう。