まずは、以下に転載している日本経済新聞社の記事をお読みください。
■政府、中小融資の特例廃止 「100%保証」対象業種3分の1に(日本経済新聞 2014年3月4日の記事より)
政府は3日、経営不振の中小企業向け融資が焦げ付いた場合、国が損失を全額負担する「100%保証」の対象業種を3分の1に縮小した。米リーマン危機後に特例として緩めていたが、金融機関の規律を失わせる副作用も踏まえ、危機前の条件に戻すことにした。
特例条件は「売上高がリーマン・ショック前の水準を5%以上下回った場合」と定めている。今回、これを「直近3カ月の売上高が5%以上下回った場合」とリーマン前の条件に戻した。
この結果、対象業種は642業種から196業種へ大幅に減る。板金など工事業、麺類など食品製造業、プラスチックなど化学、鉄鋼・電機、貴金属、海運、卸・小売りなどの業種で対象から外れる企業が増え、2003~08年の70~185業種とほぼ同水準となる。
金融機関がリスクを負わない100%保証融資は企業の倒産や貸し倒れを減らす半面、金利体系や資金の流れをゆがめる。融資の現場では不良債権化しそうな案件を国に持ち込むモラルハザード(倫理の欠如)も招いている。
12年度の100%保証付き債権の回収率をみると、05年度時点のおよそ半分の16.4%に低下。金融庁は「自らリスクを負うべきものまで国に押しつけている」と懸念する。今後は100%保証をすべてなくす「危機解除」が課題となる。
————————————————————-
皆さん、この内容をご存知でしたか?
昨年の3月には金融円滑化法案(中小企業や住宅ローンの借り手が金融機関に返済負担の軽減を申し入れた際に、できる限り貸付条件の変更等を行うよう努めることなどを内容とする法律。)が終了しました。そして、さらに今回、これまで保証協会が100%保証していたものがなくなります。これは、借りた先の企業が返済できなくなっても金融機関の貸し金は100%保証されるため、銀行は簡単にお金が貸しやすかったのです。これが通常の90%保証に戻るということですが、「何だ、たかが10%か」と思われるかもしれません。しかし、この10%は実に重みがあります。金融機関は10%でもリスクがあると、当然、審査を厳しくし、簡単には貸してくれなくなります。逆にいうと、リーマンショック前に戻ったということだけですが…。
もし、これまで、これらの恩恵を受けて延命していた企業は、今後、非常に厳しい状況にさらされるということです。そこを心してかからなければなりません。
また、現在は、景気回復感があり、今こそ新規事業や新しい投資をお考えの会社もあると思いますが、厳しくなったときに、簡単にはお金が借りられなくなることをしっかりと認識した上で、事業計画を立ててほしいものです。