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『絶対に“諦めない”組織をつくる』~W杯金メダルなでしこジャパンに学ぶ

「もうさすがに知らない人はいないんじゃないか」と思う、なでしこジャパン。
W杯で金メダルを獲得して以来、TVに出ない日はないというくらいの賑わいだ。

彼女たちの「“諦めない”気持ち」が大きくクローズアップされており、
それが集約されていたのがあの米国との決勝戦だろう。

試合は、前半から米国が優位に試合を運んでおり、
先に点を獲られてしまうが、何とか追いつくという非常に苦しい展開で、
「もしかしたら勝てるかも知れない」と思えたのは、試合中には一度もなかったと思う。

PK戦に入り、笑顔でリラックスしている日本チームに対して、緊張の色を隠せない米国チーム。
しかも、米国第1キッカーのシュートをキーパーが足で止めたところ位で、
ようやく「勝てるかも知れない」と思ってきた、そんな試合だった。

その感覚は当然数字にも表れており、米国のシュート数27本に対して日本は14本と圧倒的な差をつけられた。
よく、これで「2-2の引き分け」に持ち込めたとも思うけど、
ゴール枠内に飛んだシュートはほぼ互角というデータもあり、日本のディフェンスが球際で粘ったとも言える。

とはいえ、やはり、勝利のポイントは、「決して諦めない気持ち」だ。

1点先制された後に得点するシーンでは、右サイドがボールを持って駆け上がるのをみて、
「ゴール前に上げてくれれば何かが起こるかも知れない」と信じた宮間が、
まだ左サイドの後方にいたにも関わらず、全力でゴール前まで走り、数少ないチャンスをモノにした。

延長戦、米国エースのワンバックに豪快なヘディングシュートで追加点を許した後も、
「まだまだいける」と声を掛け合いながら、必死で得点の機会を狙っていた。

迎えた残り3分のコーナーキックのシーン、空中戦は圧倒的に上背のある米国有利な状況で、
「ニアに蹴るね」といった宮間に、「私が一番にニアに走り込むから」と答えた澤。
言葉の通り、一歩の差でマークを振り切って走り込んだ澤の足もとにコントロールされたボールを、見事にワンタッチで流し込んだ。

120分間フルに走って、体力的にも相当きつかったはずだが、選手たちが「絶対に諦めない」という気持ちは試合を観ている誰もが感じたことだろう。

この金メダルは本当に奇跡的なことだ。

例えば、日米の女子サッカー事情は、日本の女子サッカー人口が約2万5000人に対して、米国の女子サッカー人口は約500万人もいるらしい。

常識的には金メダルなんて手が届くはずが無い、まだまだ発展途上の日本女子サッカーという環境下で、
大学を中退して渡米した澤や、澤に続けと海外を目指した選手たち。
そんな日本女子サッカーをもっと盛り上げたいと願う選手たちがピッチにいた。

北京オリンピックで、準決勝、3位決定戦に連敗して4位に終わってしまった後、
「ベスト4を目標にしてたら絶対にメダルは獲れない」と思い知った選手たち。
“世界一”を実現すべき目標として共有した選手たちがピッチにいた。

東日本大震災のビデオを試合前にみて、「日本のために」を誓った選手たちがピッチにいた。

「絶対に“諦めない”組織」とは、組織に属する個々人が、「自分の為よりも自分以外の誰かの為」に頑張ろうと思える人の集合体だ。

企業でも、そういう組織づくりは十分可能ではないだろうか。