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再び注目を集めるマレーシア

マレーシアは、アジアの優等生と言われている。一人あたりのGDPは、アジアではシンガポール、日本、ブルネイ、香港、韓国、台湾に次いで高く、1万ドルに達しようとしている。

石油・天然ガス・錫といった資源が豊富で、さらにタイ、インドネシアと並んで天然ゴムの世界的な産地である。首都クアラルンプールは、ビジネス・文化・政治などを総合評価した世界都市ランキングで49位につけており、生活面での利便性も高い。

また、他の東南アジア諸国同様、マレーシアは親日である。マハティール首相が唱えた「ルック・イースト政策」は、続くアブドラ政権にも引き継がれ、マレーシア国民全体として、日本から学ぼうという姿勢が強い。

マレーシアの日本への関心の高さは、日本の建設業のマレーシア進出を促進し、多くの建造物が日本の建設会社によって建てられている。例えばマレーシアのシンボルであるペトロナスタワーもそうである。

教育面でも、マレーシアの大学では30年以上も前から日本語教育がカリキュラムに組み込まれている他、日本・マレーシア国際工科大学が設置され、日本の23の大学が協力してカリキュラム策定や講師の派遣を行っているなど交流も進んでいる。

マレーシアの自ら、日本から学んで発展していこうという姿勢は、必然的に、他の東南アジアよりも早い工業化を実現することになった。

自動車産業では三菱自動車の技術を導入した「プロトン」とダイハツの技術を導入した「プロデュア」が国産車として国内シェアの大半を獲得、さらに海外への輸出も行っている。整備された工業団地、特化型工業団地、道路インフラ、ハイテク通信網は、生産のために拠点を構えようとするにとって魅力的な環境であった。

電子部品産業などは、日本で設計した製品をアジアで生産するというモデルが早くから定着していたため、多くの電子部品産業に関連する企業は、生産拠点として親日であるインフラの整ったマレーシアを選んだという経緯もある。

しかし、マレーシアは他の東南アジア諸国と比べると人件費が高く、ブミプトラ政策のようなマレー人優遇政策などが制約になり、生産拠点としては必ずしも効率的ではなかった。また電子部品産業も急成長した台湾や韓国企業に生産量であっという間に抜き去られてしまった。

そういった点もあり、近年では日系企業の関心は、マレーシアよりも、タイ・ベトナム・インドネシアといった新興国に集まっていた。

ところが、近年、再びマレーシアに注目が集まりだしている。その一つとして、小売やサービス業がある。人口は3千万人にも満たない規模であるが、クアラルンプール、ジョホールバル、ペナンといった大都市に集中しており、また一人あたりのGDPが高く、比較的購買力が高い。日本企業にとっては小売・サービス業はまだまだ未開拓といえ、高いポテンシャルを秘めている。

次に中小企業である。例えば、マレーシアに進出して、撤退した企業の居抜きの工場ならば、中小・中堅企業でも比較的安い投資で進出できる。その他マレーシアにも新しく、中小企業が進出するのに適した賃貸工場ができてきている。ダイハツの子会社や日野自動車などが投資を拡大しているため、そういった企業を顧客にもつ日本の中小企業にとっては、こういった環境が進出のための決断の後押しをしてくれることになる。

これから海外に進出しようという企業が、市場の規模や人件費の高さから、マレーシアを対象外とされているところもあるかも知れない。しかし、ぜひ一度マレーシアを訪れて見ていただきたい。整備されたインフラと高い生活水準はそこに根をおろして取り組んでいこうという企業にとっては、魅力である。