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実は喫緊の課題!経営者の世代交代を急げ!

最近、色々な業界の次世代経営者向け勉強会にお招きいただき、お話させていただく機会が増えました。企業の世代交代があまり進んでいないこともあって熱心な参加者が多く、小職も身を引き締めて取り組んでおります。

調査会社大手の帝国データバンクでは社長交代率を継続的に調査していますが、2012年の社長交代率は3.69%で、90年以降で最低の水準だそうです。対象企業は株式会及び有限会社で、中小零細を含んでいるものと想定されますので、後継者が不在で廃業を前提としているケースも多いとは思いますが、高齢者社長ががんばっているのが実態と言えるでしょう。

平成22年簡易生命表(厚生労働省)によると、男性の平均寿命は79.64年、女性の平均寿命は86.39年になっており、元気な高齢者が増加していることも事実ではありますが、次世代経営者への事業承継を阻害する何かがあると考えるべきかと思います。
後継者がいないため、自分の代で会社を清算するつもりで交代していない場合もありますが、地方中小零細企業では創業経営者が元気過ぎて現職から退かないというケースが多いものと思われます。

しかしながら、国民生活基礎調査のデータを見ると、70歳以上になると要介護リスクが急激に上がります。
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(グラフをクリックすると拡大します。)
元気であっても70歳以上の経営者は意思決定ができなくなるリスクに備えておく、つまり、事業承継や世代交代準備をしておくことが望ましいと言えます。

創業経営者から見ると後継者が「頼りない」とお感じになることも多いと思いますが、それは社長経験年数差と考えるべきでしょう。できれば、現経営者が後見人として自分の目が黒いうちに次期経営者に銀行交渉などの社長経験をさせることが望ましいと言えます。

地方中小企業の事業を受け継ぐということは、会社のみならず、銀行交渉の背景となる個人財産を受け継ぐ、いわゆる相続をすることを考えなければなりません。
親が死んだ時の話はご子息、ご息女のように継ぐ立場からは言い出しにくいこともあって、決算書に掲載されている財産以外のことを全く知らない後継者もいらっしゃいます。

自社株の株価対策、個人資産の相続対策など、元気なうちに話し合っておいた方がよい対応がたくさんあります。
それだけに、自社の取引先が事業承継のタイミングを迎えている場合には、次期経営者に様々なアドバイスをしてあげなければなりません。

メーカーしかり、フランチャイズチェーンしかり、傘下に多数のグループ企業をかかえている企業は特に真剣に考えなければなりません。
世代交代のタイミングは 「メイン取引先にブランドスイッチされるピンチである一方、関係の薄い他グループ系法人を攻略するチャンスでもあります。
先駆者である現経営者は会社を守る、つまり社員、家族の生活を守るために努力してきていたはずで、よい形で会社を残したいとお考えになっておられる方がほとんどです。箱としての企業を受け継ぐだけではなく、企業としての「志」を受け継ぎ、会社の未来を作ってもらいたいと考えいるからこそ、「現在の事業をどうしていきたいのか」「企業をどのように育てて行くつもりなのか」をきちんと話し合わないと、バトンが渡しにくいのではないでしょうか。

このことを前提として、親子の間を取り持つフォローをしていくことに成功すれば、取引先とより深い関係を構築することができます。
自社、取引先の両面から世代交代リスクに備えることを意識しておくとよいでしょう。