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『「世界を変える」スティーブ・ジョブズ退任』~“創業原点”を貫くスタンス

先週、アップルのスティーブ・ジョブズが退任するニュースが出て、驚いた人も多いと思う。

既に1年以上前に私の書いた記事へのアクセスが突然増加したことからも、その反響の大きさがうかがい知れる。

その退任ニュースで、「残念ですがその日がやってきた…」と多くのメディアで紹介されていた手紙の内容がこちらだ。

「アップル取締役会とアップル・コミュニティーへ」

アップルのCEOとして、私自身がその職務と期待に応えることができなくなったときには、
みなさまに最初にお伝えするということは、これまで常にお伝えしてきました。残念ですがその日がやってきました。

私はここにアップルのCEOを辞任します。取締役会が適切と判断した場合、
私は取締役会長、取締役およびアップルの従業員として従事したいと思います。

私の後継については、我々の事業継承の計画を実行し、ティム・クックをCEOとすることを強く薦めます。

私はアップルが最も輝き革新的である日々がこの先にも待ち受けていると信じています。
(私は)新たな役割において、その成功を目にし、貢献することを楽しみにしています。

私はアップルで人生における何人もの最良の友人をつくり、すべての皆さんと共に働けた年月に感謝しています。

スティーブ

「アップルが最も輝き革新的である日々が…」の文章に、ジョブズが大切にしてきたものが込められているような気がする。

彼は、一度アップルを追われてしまったのだが、
その後、とあるCG(コンピュータグラフィック)事業を手掛けている部門を数千ドルで買収、
ピクサーというメジャーな会社に変身させ、ウォルトディズニーに確か約70億ドルで売却した。
つまり、お金には全く困っていない状況でありながら、(かつて自分を追い出した)アップルに年俸1ドルで復帰し、その後の躍進に導いた。

恐らくジョブズは、よく口にしていた「世界を変える」という言葉に代表される“創業原点”、
つまりビジネスに関わる上での自らの“志”が常に頭の中にあったのだろう。

彼は、まだ大型コンピュータ全盛の時代に、マイクロ・プロセッサが進化した未来を予測し、
社員に対して「みんなも想像してごらん。いつか、オフィスのデスクに1人1台のコンピュータの時代がくるから。」とビジョンを語ったそうだ。

この話を聞くと、かつて本田宗一郎がまだ社員数名の頃に、「世界のホンダになるんだ。」と、みかん箱の上に立って、言った話を思い出す。

時代を創ってきた“創業”者は、「事業を通じてやりたいこと」がブレないのだと感じる。

ジョブズの「世界を変える」という“志”は、マイクロ・プロセッサの進化を通して、
人間の知能を、人間の生活を、劇的に進化させるサポートをすることであり、
だからこそ、マイクロ・プロセッサを使いこなすために人間に負担をかけるのは断固としてNGだった。

その決してブレることのないスタンスが、「iPod」、「iPhone」、「iPad」といった商品を世の中に出していく原動力になったのだろう。

ジョブズが、かつて2005年にスタンフォード大学の卒業式に招待されて行なったスピーチの中で、
「未来に先回りして点と点をつなぐことはできない。できるのは過去を振り返ってつなげることだけだ。」という話をしていた。

この話には、「未来を信じて今を一生懸命生きよう。」という意味が込められていて、非常に感銘を受けたのを覚えている。

ジョブズ退任後のアップルが、彼の“創業原点”を受け継いで、今後も「世界を変える」商品を世の中に出し続けることを願うが、
それよりもさらに、そんなアップルを凌駕するような企業が日本から出てくることを大いに期待したい。

川原 慎也
株式会社船井総合研究所 上席コンサルタント
経営者・幹部様向け/攻めるPDCAマネジメント・顧客満足度アップ
外資系自動車メーカーにて営業、マーケティングなどを経験したのち、1998年船井総合研究所に入社。年商1兆円以上の大手企業から社員3名の零細企業に至るまで、企業規模や業態を問わず幅広くコンサルティングを行っている。 PDCAを切り口に現場の行動に変化をもたらし、企業を新たな成長のステージへと導くコンサルティングが近年高い評価を獲得。