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『日々“実行”する計画をつくる!』~なぜか“他人ごと”になる「行動計画書」作成

あるシステム会社で若手営業マンだけを集めた会議にオブザーバーとして参加した。

会議は2日間に及び、最後は「行動計画書」に落とし込むといった流れだ。

「行動計画書」の内容は、主に下記の4点。

[1] 「2日間の研修で気づいたこと(会社および自分の強みと弱み)」
[2] 「その状況下で自分自身が強化したいテーマ」
[3] 「1年後の(自分の)あるべき姿」
[4] 「行動計画(当面3ヶ月の月別重点テーマと実行すること」

行動計画に関しては、およそ90分程度の時間で「出来る限り詳細まで詰めて欲しい」旨を伝えて進めてもらっていたのだが、30分くらい経ったときにAさんが質問にきた。

Aさん:
「あるべき姿の部分であれば、1年後と言わず、3年後でも5年後でもかなり具体的に書くことができるのですが、最後の3ヶ月の行動計画がイメージできないんです。」

議長:
「1年後がイメージできてるんだよね。それなら、その1年後の成長している自分になるために、これからの3ヶ月具体的にどんなことをやっていくかを書けばいいんだよ。」

Aさん:
「はい、その理屈はよくわかっています。だけど、当面の3ヶ月となると、自分のレベルだと基礎的なことばかりで、あまり書くことがないんです。」

ちなみにAさんは、今年の4月に入社したばかりの新卒社員だ。
彼の行動計画書をみると、当面の3ヶ月間に関しては、
各月とも「自社の商品知識を習得する」、「競合の商品知識を習得する」、「先輩社員との同行訪問を増やす」と、同じ言葉が並んでいる。

Aさん:
「ご覧いただくとわかると思いますが、新人の自分はこういった基礎の部分がまだまだ出来ていないので、1ヶ月目とか2ヶ月目とかに落とし込もうとしても、結局同じ内容にしかならないと思うんですが。」

議長:
「Aさんの言ってることは十分わかるよ。だけど、その基礎的な「商品知識を習得する」というテーマにも、「どうやって習得するのか」を落とし込んだ方が良いよね。」

Aさん:
「それに関してが、「先輩社員との同行訪問を増やす」っていう項目で、営業同行することで必然的に商品知識はついていきますから。」

少し心配になって、他の営業マンの行動計画書を見て回ると、
アウトプットのレベルはAさんのものとあまり変わらないレベルになっているようだ。

慌てて参加メンバーの認識レベルを確認していくと、「とりあえず差し障りのないものを提出しておけば問題ないだろう」という感じで、「行動計画書を実行していくことで、あるべき姿に近づいていこう」と思っている人は皆無だった。

「お客さまが我々に望んでいることは何だろう?」
「だとすると、この会社に必要な人材ってどんな人だろう?」

そんな問い掛けに対して、グループワークで相当盛り上がって議論しながら、
自分のあるべき姿をイメージしてきたはずだけど、
どうやってそこに向かっていくのかが全く具体化されない。

会議を始めるときに、「今回のゴールは行動計画書作成ですよ。」と伝えられているから、
恐らく、そこを目的として捉えて、あくまでも“客観的”に議論してきたということだろう。

だから、「自分ごと」として「実行すること」を計画書に落とし込むように言われた途端に、
「自分はまだまだ商品知識が不足してるから、まずそこからやります。」といった内容になってしまう。
あれだけ商品知識だけ持っていてもお客さまからの信頼を得られるわけじゃない、
という議論をしたはずなのに。

しかし、この会社に限ったことではなく、実はこういったケースが殆どかも知れない。
企業の中期経営計画や年度方針といった類のものも、「どうすべきか」はたくさん出てくるものの、
実際は「日々の業務でそこまで手が回らない」といったことに陥ってしまう。

もちろん、客観的に物事を捉える視点は大切だが、
“実行”段階の計画書は“自分ごと”として日々“実行”するレベルに落とし込む、
両方の視点をうまく融合させる工夫が必要だ。

川原 慎也
株式会社船井総合研究所 上席コンサルタント
経営者・幹部様向け/攻めるPDCAマネジメント・顧客満足度アップ
外資系自動車メーカーにて営業、マーケティングなどを経験したのち、1998年船井総合研究所に入社。年商1兆円以上の大手企業から社員3名の零細企業に至るまで、企業規模や業態を問わず幅広くコンサルティングを行っている。 PDCAを切り口に現場の行動に変化をもたらし、企業を新たな成長のステージへと導くコンサルティングが近年高い評価を獲得。