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なぜ売れない「ブランド」になってしまったのか?【1】

昨年末に続いて苦戦が続くアパレル業界だが、景気や気候の問題に加え、自ら苦境を招いた一面が強い。アパレル業界は典型的な「ブランドビジネス」であり、その「ブランド価値」が一度、毀損してしまうとその回復が非常に難しい。本コラムでは「ブランド力低下がどのような場合に発生するのか?」テーマを3つのポイントで書き進めていくが、すべての原因は「分散」であり、「選択と集中」を誰がどうおこなっていくかということが非常に大切なポイントである。

■立地分散化の背景と結果
一つ目は「出店立地の分散化」である。アパレルブランドにはそれぞれのブランド特性により、「規模(店舗数)の臨界点」や「適正な立地」があり、その臨界点を越えて世間に溢れ、毀損の顧客層から考えて出店するべきではない立地への出店を繰り返すと、「お手玉をすべて落とす」ような崩壊が一気に起こる。例えばこういうことである。

(1)店舗数が増加する(2)本来のターゲットとは異なる客層を取り込む必要がある(3)得意なテイスト・価格・スタリング以外での商品企画が必要になる(4)商品企画の手間が加速度的に増加し、商品一点一点を作り込む精度が低くなる(5)どこにでもあるブランドになり、顧客離れを起こす。このようなパターンが非常に多い。ブランドにより、全国で50店舗、年商で50億円程度など、客層と市場規模から、「天井」を作っておかなければならない。

しかし往々にして、「年商100億円を目指す!」など数字が先行してしまい、顧客のためではなく、自社の数字目標のため、もっと言うと「社長の言ったこと」を実現するためだけにブランドが拡大・肥大していくことになる。同じアパレル企業でも上手な企業はそのブランドの市場規模を認識し、商圏規模や立地によりブランドの棲み分けを綺麗におこなっている。

とはいうもののすでに身の丈を越えて拡大しているブランドも多く存在するので、この場合、必要なのは適正な規模の見極めと勇気を持った絞込みである。

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佐橋 賢治
株式会社船井総合研究所 チーフ経営コンサルタント
百貨店にて婦人服セレクトショップのバイヤーを経て現職。 「船井流マーケティング」と前職のバイイングで培った「感性」の両方をバランス良く操る小売業経営者の強い味方。生活雑貨店を中心にコンサルティングしており、規模を問わず 単店舗から大手チェーンの企業までと幅広い。「答えは現場にしかない」をモットーに、日々現場を飛び回る。