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震災、計画停電で“営業困難”に陥る流通小売各社。今こそ「正しい経営」に切り替えよう!

2011年3月11日、超巨大地震が日本を襲いました。今もまだ予断を許さない状況が続いています。被災地の被害の大きさは甚大であり、東北地域に出店している各社の被害も相当なものがあります。

そして被災地への電力供給もままならない今、首都圏を中心として計画停電が行われています。この停電の影響により流通小売各社は営業が困難になるなど、影響は少なくありません。またその一方で、各店舗では品切れ、品不足も深刻化しています。

これから流通各社はどうすべきなのか。今後の対策を考えてみます。

■ 営業再開ができない店舗多数。新規オープンを延期する施設も

百貨店各社では東日本大震災以降、店舗の休業、営業時間短縮が続いています。震災で建物の損傷を受けた企業、店舗は数多く、そのほとんどは当面の間営業を再開できない状況です。

また首都圏の多くの小売業でも震災や原発、また計画停電などの影響もあり、店舗の営業時間短縮や休業を余儀なくされています。3月中旬から下旬にかけてオープン予定だった各種大型商業施設もオープン日の延期を決めています。震災は関東以北を中心に大きな影響を与えています。

これらの延期も現段階の予定に過ぎず、計画停電の範囲と規模によっては、さらに延期となる可能性もあるのです。

■ 計画停電の影響で売上ダウンとなる小売・サービス各社も多数

現在の小売・サービス各社にとって最大の悩みは、東京電力の計画停電です。

計画停電は「東京電力」となって以来はじめての試みであり、実施を決めた時から混乱が予想されていました。実際に実施が二転三転しているため、小売・サービス各社としては営業するかどうかの判断が非常に難しくなっています。

特に大型店は停電時、営業が難しくなります。もしエレベーターに人が乗っていて閉じ込められてしまったら、などといった状況を考えると、計画停電時に店を営業させておくことは決してできないのです。人の配置問題や館内のセキュリティ、設備関係の問題もあり、百貨店や大手GMS、旅館やホテルなどでは一定期間の休業を決めた企業も数多くあります。

東京ディズニーランドと東京ディズニーシーもその1つです。両施設を運営するオリエンタルランドは当面の休園を発表しています。稼ぎ時の春休みの営業休止は大きな売上のマイナスですが、計画停電中の再開は困難であるとして休園を決めました。1日7万人以上の来園者が見込める施設の休園は想像を超えた厳しい決断であると感じます。
ショッピングセンターなどの大型商業施設においては、その影響はさらに広がります。

私の知る関東のあるショッピングセンターには150店舗ほどが入居しています。施設が休業ということは、入居しているテナントの営業も休業ということになります。施設が営業時間を短縮すれば、テナントの営業時間も短くなります。その結果、入店テナントは売上がほとんど立たない状況にも立たされています。

計画停電はこのように数多くの企業に対して売上ダウンをもたらすことになりそうです。

■ 安易なセール、バーゲンに走らず、「思いやり」をもった企業戦略にシフトを

今後の計画停電については、どうなるのかは分かりませんし、それは東京電力ですらも明言できないでしょう。しかし、当面である少なくとも4月中は続くものと思われます。

とすれば、企業側はさまざまな形での節電に協力し、計画停電を減らす努力をするのはもちろんですが、それ以上にコストを削減する努力をしなければなりません。

イニシャルコスト(初期投資費用)は仕方ないとして、ランニングコスト(運転費用)で抑えられるところは極力抑える努力をしっかりしておかなければいけません。不必要な電気、水道、人件費、通信費などはできるだけかけないようにすべきです。これには全社員の懸命な努力が欠かせません。緊急対策会議を実施して、当面の対策を各社なりに組むことが必要です。

私のクライアント企業A社では、地震の翌日から1週間の休業を決めました。その間に、今までできなかった数値分析、次年度の計画づくり、計画停電後の企画検討などの会議や計画づくりに時間を割くようにしました。

同時に、被災地に対してどんなことができるのかを決め、早速義援金を集め、寄付することも決定しました。

しかし、計画停電はずっと続くわけではありません。完全に元には戻らないかもしれませんが、徐々に生活は安定を取り戻していくことでしょう。その際に、多くの企業が売上獲得のために、一大セールやバーゲンなどに踏み切ることが考えられます。失った売上を取り戻すための仕掛けを打つはずです。私はそれを危惧しています。

単に売上を取りにいくのではなく、今回の震災をきっかけに、正しい商売の手法に変わっていくことを提案したいと思っています。セールの乱発でお客さまを集めるという古い手法から脱却して、当面は売上の一部を復興資金に充ててもらうような基金を作る、東北地域のことを考えて一切セールをしない、派手なチラシを打たない、大げさなイベントはしないなど、これまでの反省を活かして、新しい販売手法にシフトする必要があると思うのです。

おそらく今回の震災を契機に、個人レベルでも節約や節電、無駄なモノは購入しないという流れが強まっていくことでしょう。このような時期に企業はどのような姿勢で商売をしているのかを消費者はよく見ています。

震災で大変な思いをされている方々に対しての思いやりのこころを、一体どこまで持ち続けられるのか。それを消費者は見ています。単に自社の売上だけを考えて行動するような企業は、これからは消費者の支持を得られないでしょう。

自社の提案したい商品を、しっかりとしたメッセージを持って、世の中に発信すること。そして、今回の震災を1人1人が心に留め、今後も継続して、何ができるかを考えていく企業姿勢が必要なのです。

自分たちのことだけを考えるのではなく、被災地で、当面の商売のことすら考えられずにいる方々のことを第一に考えて行動していくことが大切だと思います。いかに思いやりをもった企業戦略がとれるか。それこそがこれから私達が考えていかなければならない大きなテーマなのです。
(出典:ダイヤモンド・オンライン)

岩崎 剛幸
株式会社船井総合研究所 上席コンサルタント
経営者・幹部様向け/情熱経営・トレンドから学ぶ企業ブランディング
「組織は戦略に従う。戦略は思い(情熱)に従う」というコンサルティング信条のもと、出会うすべてのお客様に対して、情熱を込めたコンサルティングを行う。コンサルティングテーマは、「永続性を実現させるブランド戦略」。アパレル業界を専門領域として、アパレルメーカーの戦略立案、新業態開発を得意とし、SPA専門店、百貨店、GMS、品揃え型専門店にいたるまで川上から川下までのコンサルティングを実施している。現在はアパレル企業のブランド戦略づくりに特に力を入れている。立教大学兼任講師。 【ブログ】「丸の内で働く情熱コンサルタントのブログ」