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課題解決の考え方~ITの現状から考察する~

今回は、課題解決の考え方について述べてみたいと思います。

最初に結論を言うと、『IT=ビジネス』という、ITベンダーのプロパガンダからCIO(IT部門長)を解放することがポイントということになります。

■IT=ビジネス?

ITベンダーの営業やコンサルタントなどから、未だにこの言葉を耳にすることがあります。
ITバブルを経て、Amazon.comなど様々な事例から、IT製品やサービスを提供するITベンダーは、我が意を得たりと言わんばかりに、この言葉を使うようになりました。
しかし、もう一度考えてみましょう。
例えばAmazon.comは、本当に『IT=ビジネス』でしょうか?ITベンダーの言い分は、以下のようなものです。

1.インターネットが広く浸透
2.インターネットを中核としたビジネスモデルのパラダイムシフトが起きる
3.結果、時代の趨勢として、ネット専業書店のビジネスモデルが完成
4.このように、ITの新技術から考えれば、ビジネスモデルを開発できる
5.つまりは、IT=ビジネスである

彼らの言い分では、インターネットの浸透やRFIDだ指紋認証だと、ITに関する技術革新を論理展開の頭に置きます。
そして、これらの技術を使えば何かが変わるといった論理で何事も収束させてしまいます。
しかし、Amazon.comの事例をもう一度冷静に考えてみましょう。
そもそもの原点は、従来型の一般書店に対する消費者の不満があります。

-店に行くのが面倒
-目当ての書籍を探すのが大変
-折角店まで来たのに、在庫がなく、取り寄せに何週間もかかる

といったものです。
これらの課題を解決する方向性として、もっと手軽に書籍購入ができる利便性を顧客に提供するサービスを考えます。
そして、そのサービスを実現する手段として、顧客の店舗訪問の手間を省くためにインターネットを顧客との接点にする、あらゆる書籍の納期を短縮するためにサプライチェーンシステムを構築するなど、結果的にITが有効であるという結論に達することになります。

このように考えた場合、『IT=ビジネス』ということにはなりません。
従来から存在するマーケティング戦略に、ITという要素が付加されたに過ぎないと言えます。

なぜこのようなことを言うのかというと、『IT=ビジネス』と言ってしまった瞬間に、思考停止に陥ってしまうように考えられるからです。
従来、戦略立案という枠組みの中で行われてきた、顧客や競合や自社や業界などについて突き詰めて、自社の方向性を考え抜く思考プロセスを、『IT=ビジネス』と言い始めると、上記のように至極大雑把な思考で済ませてジャンプしてしまうのです。

そのような思考停止から生まれるのは、以下のようなものです。

■独善的で顧客にフィットしない商品/サービス
■競合がやっているからうちもという脅迫観念に駆られた業界横並び
■自社の強みよりも業界のベストプラクティスに偏重したCSF認識

そうではない企業も存在しますが、『IT=ビジネス』などと言っているIT業界自身が、このような結果に陥っているようには見えないでしょうか。上記のような思考停止に基づく投資が、効果が出ないのは当然とも言えるでしょう。

逆に、このような思考の呪縛からCIOを解放すれば、ITガバナンスが確立され、投資対効果が出ないという、IT投資の課題を解決することが可能になるのです。
次回は、正しいITガバナンスの確立の方法について解説します
(この記事は2008年6月21日に初掲載されたものです。)