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ITガバナンスにおけるCIOの役割とは?

前回に、「IT=ビジネス」というプロパガンダに踊らされるCIOという、“成果の出ないIT投資が繰り返される”問題の原因について述べました。

ではなぜ、CIOはプロパガンダに踊らされてしまうのでしょうか?
そのキーがITガバナンスにあります。
本稿では、ITガバナンスについて解説します。

ITガバナンスとは、「共通の目標に向かって、ITに関わる組織能力を統制する仕組み」を意味します。
統制というと、一般的には締め付けをイメージします。
実際、コーポレートガバナンスという言葉では、多様な利害関係を持つステークホルダーに対応するため、コンプライアンスなど、締め付け系の内容が多く語られます。
確かに、ITガバナンスにおいても、情報セキュリティという重要なリスクマネジメント(=締め付け系)の概念を含みます。
しかし、ここで述べたいのは、締め付け系のコンセプトではありません。

あくまでここで述べたいのは、CIOがプロパガンダに踊らされないためのITガバナンスです。

現状、多くの企業においてCIOは孤立した立場にあります。
その理由は二つあります。
一つは、権限が足りないことです。
CIOの多くは、事業ラインの役員に対して、同等の権限を持つことは稀で、基本的には従属する立場にいるケースが多いようです。
このように権限が足りない状況では、主体的にCIOからコミュニケーションを図り、事業戦略とITの整合性を図るなどは非常に困難であると考えられます。
二つ目は、CIO自身の出自の問題です。
多いのは、IT部門長がCIOとなるケースです。
この場合、IT部門の利害代表に陥るか、あるいは、テクノロジー論に固執し、自らラインと隔絶してしまうか、どちらかのケースが大半です。
いずれのケースでもやはり、CIOは孤立することなります。
また、管理部門長がCIOになるケースも少なからずあります。
この場合、ITに関するリテラシーが足りず、強固に連携すべきIT部門とうまくコミュニケーションをとることができなくなってしまい、CIOの業務というより、予算コントロールに偏重してしまうケースが多いようです。

このように、彼らCIOは孤立した結果、社内的には独善的な判断に走らざるを得ず、結果としてベンダなど外部に意見を求め、プロパガンダへの耐性を担保できないと考えることができるのではないでしょうか。

つまり、ITガバナンスとして重要なのは、社内的にCIOを孤立させず、横のコミュニケーション(各事業ライン役員との連携)と、縦のコミュニケーション(IT部門との連携)を確立する仕組み作りといえます。

この仕組みを作ることができれば、CIOは適切なコミュニケーションの元、自社の適切な現状把握から適切に課題を抽出し、課題を解決するIT戦略を立案し、適切にIT部門をコントロールして円滑な実装を図ることができます。
理想論のように聞こえるかもしれませんが、このような基本的なことができていないことが現実であり、それゆえ、基本を抑えればIT投資の課題を大きく改善することができるといえます。

次回は、ITガバナンス構築の方法論について解説します。
(この記事は2008年6月13日に初掲載されたものです。)