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店舗出店の極意! 商圏の考え方[マーケティング戦略・営業戦略]

「商圏調査」についてお伝えしたいと思います。

商圏調査の内容に入る前に、まず「商圏」について簡単に説明させていただきます。ご存知の方も多いかとは思いますが、「商圏」という言葉は「商勢圏(※)」の略語であります。つまり、読んで字のごとく「商売の勢力が及ぶ範囲」を意味します。もう少し噛み砕いた表現をするならば、「お客さまを呼べる範囲」といったところでしょうか。

(※ドミナント出店等により複数店舗の商圏が連なり広がっている範囲と考え、「商圏」とは異なるものとする場合があります)

一般的に食品スーパーの商圏は、半径1km程度が基本商圏、最大商圏でも主要交通手段(自動車等)で10分以内の範囲(以下、実走10分圏)と考えられているなど、業態に応じてある程度の目安が存在します。しかし実際には、商圏は一義的に定められるものではなく、たとえ同一店舗であっても、外部要因によって大きく異なるのが実情です。

例えば、みなさんの家から自動車実走10分圏内に食品スーパーがあったとしても、道中に線路や川などがあり、踏み切りや橋を超えなければたどり着けないような場合を考えるといかがでしょうか。

実際の利便性を考えると、自動車でその食品スーパーへ向かう場合、踏み切りはもちろん、橋についてもアクセス経路を制限するため、物理的に向かいづらくなります。また、心理的にも「遠い」「不便」「面倒」などの意識が働き、その店舗に対しては、足が遠のいてしまいます。このように、店舗の周辺にあ
る線路や大きな川、あるいは幹線道路などがある場合、対岸に位置する顧客は来店しづらくなる傾向があり、これらの物理的要因を「商圏分断要因」と言い、外部要因の代表例になります。つまり商圏の大枠は、主要交通手段と「商圏分断要因」によって形成されると考えられます。

外部要因には、この他に以下のようなものが挙げられます。
□競合(例:競合の先に位置する顧客⇒競合を超えて来店することが少ない)
□渋滞の有無等の道路特性(例:主要ルートに渋滞が多い⇒心理的抵抗)
□都市環境による吸引方向性格差(例:東京-川崎-横浜・・・川崎は両都市に吸い取られる)

また、同一立地にある店舗であっても、内部要因によって大きく異なります。
日常の食料品を買いに食品スーパーへ行く場合と、食料品の買いだめやちょっとした日用品を買いにGMSへ行く場合を、比較して考えてみましょう。
前者の場合、みなさんはどれくらい遠くまで行かれるでしょうか。おそらく自転車で行ける距離、せいぜい自動車で10分くらいではないでしょうか。一方、GMSではいかがでしょうか。おそらく、自動車で20~30分の所でも行かれるのではないでしょうか。また、友人へのお祝いなどを買いに百貨店へ行くような場合であれば、1時間かけてでも行かれるでしょう。

このように、たとえ同一立地にあったとしても、業態、あるいは目的によって、商圏が異なります。すでに、食品スーパーの商圏は半径1km、あるいは実走10分圏が目安になるとご説明しましたが、同じスーパーマーケットという分類であっても、GMSでは実走20分または30分、また都市型百貨店であれば実走60分とも言われています。

先ほど、商圏の大枠は、主要交通手段と「商圏分断要因」という外部要因によって形成されるとご説明しましたが、「業態」などの内部要因によっても、商圏は大きく異なります。

内部要因には、この他に以下のようなものが挙げられます。
□規模(例:30坪の「町の本屋さん」と200坪の「大型書店」では、200坪の「大型書店」の方が、より遠くから集客することができる)
□商品(例:行列ラーメン店⇒「ここでしか買えない(食べられない)商品」
 あるいは、品揃えが豊富な店舗は、より遠くから集客することができる)
□サービス(例:東京ディズニーランド⇒他にはないサービスを提供できる店舗は、より遠くから集客することができる)
□専門性(例:関西にある4WD専門店は、北海道からも集客している⇒卓越した専門性を有する店舗に、商圏は存在しない)

以上のように、商圏とは様々な要因により大きく異なり、これらの要因や実際の顧客データ等を加味しながら設定していく必要があります。
(この記事は2008年4月1日に初掲載されたものです。)