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粗利率を落とさない集客施策[マーケティング戦略・営業戦略]

今回は「粗利率を落さない集客施策」についてお話します。

私どものところに寄せられる相談として、
「売上をもっと上げて欲しい。」
という案件は多いのですが、
「利益をもっと上げて欲しい。」
という案件は、さほど多くはありません。

クライアントのニーズが売上に向かいすぎ、粗利に関する視点が少なすぎることに、少し不安を感じることがあります。

小売のケースで言いますと、業績不振のお店をいくつか訪問調査すると必ず遭遇するのが、安売り偏重のお店です。今の売上を守ろうとしすぎるあまり、返って収益を大幅に悪化させ、経営が厳しくなっているケースが多いのです。例えば、平均粗利が30%(100円の売価なら原価70円)というお店があったとします。このお店が、客数の減少を止めるため、5%、10%の割引券の発行や会員特典を頻繁に行なうケースがあります。

しかし、考えて頂きたいのですが、粗利率30%のお店で上代価格を10%値引くと、1.5倍の集客効果(販売個数)が無い限り、粗利へのインパクトはマイナスとなるのです。普通に考えれば誰でも分かる話なのですが、現場で日々の数字に追われている店長やオーナーは、「これ以上売上を落すわけには行かない」と無理な値引きに固執してしまいます。そのうちに、「値引きをやめると、今のお客様が離れてしまう」と思い込み、適正価格に戻せないまま、慢性的な赤字店(閉店)に陥ってしまいます。

こういった事態を避けるためには、出来る限り粗利を意識した集客施策を取っていく必要があります。値引き以外の集客施策としては、お店作りや商品力、サービス、販促など様々が考えられますが、最も簡単な施策は、『サービス告知』の強化だと思います。新しいサービスはすぐには始められない、と考える方もいらっしゃるとは思いますが、まずは今あるサービスの中で、お客様に伝えていないものが無いか、もう一度見直してみて下さい。よく、「こんなものは当たり前だから・・。」という声を聞くのですが、そのような項目の中で一般消費者が知らない魅力的なサービスは案外たくさんあるものです。

例えば、『一つから宅配可能』でも、『2時間でお伺いします』でも構いません。
差別化が激しい時代ですので、特に購買頻度が少ない商品では、サービス内容は殆ど伝わっていない、と考えた方が良いと思います。サービスは先に開始したお店ではなく、先に告知をしたお店が勝ちです。自店が何をどこまでやってあげられるのかを販促やサイン、接客で明確にすることで、目的買いのユーザが増え、粗利を落さずに集客の確保が可能となります。

これは小売以外に、法人営業等でも同じことが言えます。あるメーカーA社では、値引き率が高すぎ低収益が問題となっていました。担当者にヒアリングした際には、「自社も競合のB社、C社も商品やサービスは一緒なので、価格でしか差別化できない。値引き競争も仕方無い。」とのことでした。しかし、実際にユーザー調査をしてみると、サービスの多くが理解されていない状況が判明しました。
(一週間以内に納品可能であることや、即日訪問できる保守体制など、基本的なサービスさえ、ユーザに理解されていませんでした。)
A社にとって、まず行なうべきことは、値引き競争ではなく、サービス内容の訴求ではないでしょうか。他社と一緒のサービスであっても、ユーザが知らないのであれば、やはり伝えたものが勝ちなのです。

法人営業の場合には、まずは自社のサービスをしっかり伝えられるよう、メニューを整備することが必要です。自社のサービスを誰にもわかりやすく伝えられるようにするだけで、売上や粗利はずいぶん変わってくるものなのです。
(この記事は2008年5月29日に初掲載されたものです。)