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物流拠点の構築は、顧客ニーズの把握からはじめよう

■物流拠点は極少化がベスト
企業のロジスティクス(=効率よく市場に商品を供給する仕組み)を考える上で、在庫管理は欠かせません。今回は在庫管理を考える上で、在庫をどこに置くべきなのか」という点から考えてみましょう。適切なロジスティクスを実現するためには、物流拠点を適切に配置することが最大のポイントです。アパレル業界の例で考えてみましょう。

アパレル業界の場合、エンドユーザーに商品を販売する店舗がロジスティクスのゴールになります。当然、売上を上げるためにはエンドユーザーが訪れる店舗に商品が揃っている必要があり、品揃えが充実しているほど望ましいということになります。そのためには多くの在庫、そして在庫を抱えるためのスペースが必要になります。しかし、その在庫は当然ながら全て売れるとは限りません。そして売れなかった商品にも、店舗へ運ぶための運賃はかかり、物流センターでの保管スペースも掛かっています。

そうなると売上に対する経費の効率が低くなり、結果として利益が減ってしまうことになります。つまり経営資源の適切配分という観点からは、実際に商品を販売するための必要な品揃えさえ確保・維持することができれば、売上に対する経費効率は最も高くなるのです。すなわち売上に影響がない範囲で、物流拠点は少ないほうが良いのです。

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■物流拠点の数は、発注~納品のリードタイムから決める
物流拠点は少ないほうが良いことは確かですが、むやみに減らすことはできません。あくまで商品を販売するために必要な品揃えが店舗に確保できることが条件です。店舗に必要な品揃えを確保・維持するための大きな要素が、オーダーの受注から店舗に納品されるまでのリードタイムや納品頻度です。例えば、自社の全店舗から求められているリードタイムを実現するために、1ヵ所の物流拠点で対応できるのであれば、拠点は1つで良いということになります。

しかし、当日夕方のオーダー受注→翌日午前中の店舗への納品、といったレベルの高い物流サービスを行おうとすると、従来の物流ネットワークでは、エリアによっては対応できない店舗が出てきます。そういった店舗にも他店舗と同水準の物流サービスを実現するには、航空便やチャーター便などの、高コスト・スピード対応の輸送手段を活用するか、求められる納期に対応できる場所に、別途物流拠点を追加し、一定量の商品を在庫しておくことになります。

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よって短納期に対応すればするほど、必要な物流拠点は増加し、各物流拠点に在庫されるアイテム数も増加することになります。また、見落とされがちなのですが、物流拠点が増えると物流拠点から店舗への物流の他に、非効率な物流拠点間の在庫移動(横持ち)が発生します(売上に繋がらない移動という意味で非効率なのです)。そして、物流ネットワークが複雑化し、結果として、全体の在庫が過剰気味になり、ROI・資金繰りの悪化を招く危険があります。そういった物流ネットワークは、納期対応という意味では高品質と言えますが、同時にその維持負担も大きくなり、効率的な運用を行う必要があります。

今回はアパレル業界を例に物流拠点の構築について考えてみました。

まとめると、【1】エンドユーザーが求めるリードタイムや納品頻度を正確に把握し、それを満たす範囲内で物流センターの数・立地を決める。【2】そして物流拠点の数は、できるだけ極小化するのが望ましいとなります。自社の物流拠点の見直しを行う場合には、まずは【1】のエンドユーザーのニーズを正確に把握することから始めてみて下さい。