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広告代理店におけるモチベーションアップの仕組みづくり

今回は「モチベーションアップの仕組みづくり」について、成長を維持している広告代理店A社のケースについてお話します。

広告代理店業界は、大手2社を筆頭に中小規模の企業も乱立し、価格競争も激しくなっていますが、当社の勉強会に参加していただいているA社は、他の広告代理店の成長率が鈍化している中で、創業以来2ケタ成長を維持しており、利益率も他企業に比し高水準を維持しています。しかも社員のモチベーションが高い。

社員のモチベーションの源泉は、一般的には、評価・報酬制度、教育制度、オフィス環境、企業としてのブランドバリュー、仕事の中身、フレックスタイム制度、ジョブローテーションシステム、新規事業提案制度(スピンオフ支援制度)、福利厚生制度、独立支援制度、ストックオプション、各種諸手当など様々ですが、皆様の会社におけるモチベーションアップの仕組みは何でしょうか?

前述の広告代理店A社の社長は、「評価・報酬制度」と「教育制度」の2点に絞ってモチベーションアップの仕組みづくりを行ったそうです。

では具体的にA社の社長は何を行ったのでしょうか?
その中身は極めてシンプルなものとなっています。

まず、「評価・報酬制度」ですが、自分が稼いだ粗利に応じて労働分配率を決めておき、稼げば稼いだ分だけ年収に反映される仕組みにしました。
この制度のメリットは、自分が稼いだ粗利に対して給与となる労働分配率が決まっていますから、会社の利益率そのものを圧迫するリスクがありません。
しかも受注すれば受注した分だけ上限なく給料が増え続けます。

また、広告代理店業界においては、コンペが一般的で最終的には価格競争になりがちですが、受注に際しての価格設定を営業マン自身に権限委譲することで、予算管理意識が強くなったばかりではなく、コンペの勝率も一気に上がったといいます。

いくら高額の受注でも粗利率(外注費を除いた自社の儲け)が低ければ、自分の給与もそれだけ下がることになりますし、ハイクオリティのプレゼン内容で高粗利で受注すれば逆に自分の給料も高くなるわけですから、予算管理意識が強くなるのは当然です。
どうしても勝ち抜きたいコンペにおいては、価格設定は自己裁量ですから営業マンが動きやすくなり、コンペの勝率がアップするのも当然の結果といえるでしょう。

A社の成功要因は、この仕組みを導入したことだけではなく、この仕組みを下支えするために「教育制度」を刷新した点にあります。

A社では従来より教育制度に力を入れていましたが、どちらかというと研修を専門とする会社に丸投げ状態だったものを、広告代理店の営業マンに求められるスキルを自社でランク分けし、そのランクに応じたスキルを習得できる研修内容にカスタマイズして導入しました。
研修の進め方についても、これまでのように一方的に講義を聴くという受動的なものから、ワークアウト形式による能動的な研修内容に切り替えました。

これにより、社員は一流の広告代理店の営業マンとしてキャリアアップしていくステージを具体的にイメージすることができると同時に、自分に与えられたミッションを自覚することができるようになり、自然と社員全員のモチベーションが上がっていったそうです。

コンペの際における営業マンのプレゼンテーションスキルや、提案内容に説得性を持たせるための論理的思考力、企画書の見せ方、案件発掘から受注までの計画的活動、既存のクライアントからの継続受注能力など、一人一人のスキルが飛躍的にアップしたことは言うまでもありません。

同業他社が人材の確保や有能な人材の社外流出に苦しむ中で、A社はこの仕組みの効果もあり、人材不足には困っていないそうです。

皆様の会社でも、社員のモチベーションアップに向けて、「評価・報酬制度」の見直しと、それに連動させる形で新たな「教育制度」を導入することで、社員のモチベーションアップと企業の成長率のアップに取り組んでみてはいかがでしょうか。
(この記事は2008年5月24日に初掲載されたものです。)