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顧客満足度(CS)・従業員満足度(ES)を向上させるために

今回は私、戸澤 良親が担当させていただきます。

今回は、医療業界の事例を交えて“顧客満足度(CS)・従業員満足度(ES)を向上させるために”と題してお送りさせて頂きます。

さて、読者の皆様はCS・ESを上げるために、まずやるべきことはどのようなことだとお考えでしょうか?
弊社では、なにより『正しい現状把握』を最優先で取り組むことをお勧めしています。

日本全国の中小企業から大企業まで、どのような企業でも問題がないことはありません。
営業力の欠如、組織力の低下、商品力不足など、運営形態によって様々ではありますが、何かしらの問題点を抱えております。
経営者は、常に自社をよりよくしたいと考え続けているものですが、「本当に問題点はこれだけなのか?」と疑う姿勢が必要です。
一般的に、企業の問題点として挙げられているものはすでに見えている(顕在化している)問題点であり、見えない(潜在化している)問題点は、意識的な探さないと、発見できないものです。
経営を安全かつ効率的に回していくためには、“どれだけ潜在化している問題を明らかにすることができるか”ということにかかってきます。
潜在化している問題点のうち、CS・ESに関連するものは、現場が隠そうとする傾向が強いため、経営者からは見えにくい特徴があります。
しかしながら、CS・ESに関連する問題は、「企業に緩やかなダメージを継続的に与える」ものと考えてください。
これらを発見していくためには、「正しい現状把握」が欠かせないものなのです。
そのためには、経営者と顧客、経営者と従業員間のギャップをリアルに把握していくことが必要になります。

今回は、「正しい現状把握」に関する私の取り組み事例をご紹介させていただきます。

【医療業界事例1】
私は医療業界でのコンサルティング活動を中心としているのですが、ある病院の院長先生にヒアリングを実地させて頂きました。

Q1.患者さんは自院から半径何キロ以内からの来院が多いのですか?
A1.正確には把握していないですが、半径3キロ圏内からが70%ぐらいですね。
Q2.患者さんの来院経路は把握されていらっしゃいますか?
Q2.はい。80%以上の患者さんが紹介です。
Q3.患者さんは自院に何を求めているとお考えですか?
A3.待ち時間の削減であったり、治療期間を早めてもらうことでしょうか。
Q4.スタッフの方々は当院で勤務していることに満足してるとお考えですか?
A4.給与は周辺医院よりも多く支給しておりますし、休暇も多いため、満足し
て働いていると思いますよ。

ヒアリング後、現状把握に向けた実態調査をした結果、以下のことが判明しました。
・患者の70%は半径500メートル以内から来院
・50%以上の患者が「近所だから」来院している(紹介患者は2割)
・アンケート分析から患者ニーズの上位に、「情報提供を豊富にしてほしい」
・スタッフヒアリングからは、「モチベーションの上がりにくい職場環境」

このように、院長先生が感じられていた内容と患者・スタッフが感じていた内容に大きなギャップがありました。
経営者である院長先生の「きっとこうに違いない」という思い込みが、リアルな問題発見を妨げていたのです。

【医療業界事例2】
ある歯科医院で、院長先生をお待ちしている時のことです。
業務終了時間となっているにも関わらず、若い女性が待合室にずっと座っていました。
不思議に思った私が院長先生にお尋ねしたところ、「あの子は今仕事中ですよ」とお答えになりました。その女性は医院の職員の方で、「患者さんは待ち時間に何をしているのか」、「自分だったら待ち時間に何を求めるか」ということを理解するために待合室にいたのです。
待合室に座っていることで、患者さんと同じ視点に立ち、「快適な待合室とはどのようあるべきか」を考えていたのです。
彼女が患者(顧客)さん視点に立とうとする姿勢は非常によいですが、彼女が考える時間を指して「仕事中」と言える院長先生は、さらにすばらしいと思いました。

=<補足コメント~従業員の労働意欲について~>=============

従業員の労働意欲動向は、ここ数年で変化してきております。
従業員が働くための動機としては、大きく2点あります。
まず、1つ目は「衛生要因」です。そして、2つ目が「動機付け要因」です。
衛生要因とは、職場環境のことです。例としては、会社の方針・作業条件・人間関係・給与体系・雇用の安定等が挙げられます。
動機付け要因とは、モチベーションの根源となる事柄を指します。例としては、仕事の達成・責任の増大・やりがいのある仕事・成長の実感等が挙げられます。

⇒⇒⇒以前までは⇒⇒⇒
「従業員労働意欲」=「衛生要因」+「動機付け要因」
⇒⇒⇒現在では⇒⇒⇒
「従業員労働意欲」=「衛生要因」×「動機付け要因」

要するに昔は、衛生要因、動機付け要因どちらか一方が満たされていれば充分であったのですが、今はどちらかが欠けていると、労働意欲にはつながらないのです。
先ほど、冒頭部でのヒアリング事例(Q4)でもありましたが、院長先生は衛生要因のみを重視することでES強化をしておりましたが、スタッフ側では動機付け要因が満たされていないことにより、不満が生じているという結果になっていました。
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今回は、「CS・ESを上げるためには正しい現状把握が必要であること」をお伝えしましたが、そのための第一歩は「現状を小まめに把握する努力を継続する」ことです。
市場、就労状況、労働者意識など、どんどん環境が変化していく昨今では、古い現状把握データに依存することが大きなリスクとなります。
是非、小まめな現状把握を行いながら、顧客満足度・従業員満足度を向上させることを意識していただければ幸いです。

(戸澤 良親)