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「外発」を利用した経営計画づくりへの挑戦

コンサルティングを仕事としている関係上、経営計画づくりを行う場面に頻繁に出くわします。また自分自身、1983年に社会人となって間もなく、会社の経営の中枢に取り立てられ20代から経営幹部の方々と共に経営計画づくりに携わってきました。まだまだ若造であったが故、大手企業、先進企業の経営計画も参考にして勉強しながらの計画策定の日々でした。当時、日本はバブル経済まっしぐらの時代でしたが中長期経営計画づくりの重要性を説く企業は多く、10年スパンぐらいでどのような企業創りを目指すのかという部分と現状数値の整合性をすり合わせしながら、あるべき戦略を形作っていくような感じでとらえていました。

時代はそれから30年ほどがたち、今、国内外の大手企業を見ても10年スパンほどの長期計画を策定している企業はあまり見当たらなくなっています。中長期経営計画という言葉も使われてはいますが、ほとんどが3ヵ年程度の経営計画をどう作り上げるかという形になり、10年スパンは経営計画ではなく、ビジョンとして表現されることが多くなったと感じます。この原因と背景にはIT革命をきっかけに社会の変化スピードが格段に速くなったということ、さらに企業価値の増大を目標としながらコミットメント型の経営を目指す企業が増加したこと、社会の構造が明らかに変わってきた今、経営者の経営責任と業績評価に対する対象期間が短期化していることなどがあると思われます。

中小企業から大企業までの経営計画に対するアドバイスを求められる中、定石としては3ヵ年で達成する具体的な目標設定、やめること・やることの明確化による経営資源の集中、事業モデル、営業プロセスのゼロベースでの見直しによる今の時代にあった仕組みづくり、社員の生産性向上に向けた意識変革の仕掛け、社内外に自社の戦略と独自性あるポジションを伝えるためのコーポレートコピーやスローガンの設定、現場へ戦略を落としこみ目標達成を着実に実現していくためのコントロール&スーパーバイズする仕組みづくりなど を文書化し、社内外に発表できる体制を作り上げることになります。

厳しい環境の企業の場合、どうしても数字から頭が離れなくなるため、それだけでは駄目だと頭ではわかっていても、まず数字を向上させていこうということになり、悪く言えば数字合わせの再建計画、成長計画となる場合が多くなります。これは中小企業だけではなく、破綻懸念がある事業を抱えていたり、大きな事故や損失が発覚し早期に健全化を目指さなければならない状態になったり、新体制となり何が何でも劇的な数字の改善状態を提示したいという大手企業でも同じです。

そもそも論として日本の国内では人口減少やこれまで社会をリードしてきた製造業の海外移転、空洞化現象などにより根本からの経営、事業の見直し、過去の成功体験に囚われず新しい時代に通用する強い企業構造、ビジネスモデルを作り上げるために変革しなければならない企業が多数あるのですが、戦後長く続いた右肩上がり経済に対応したシステム作りを自己チェック、自己否定する難しさなどから戦略的意思決定が難しいという状況があるように思えてなりません。それでも変えるべき点は変えないと魂の入った経営計画になるはずはないと思います。

変革の難しさに関しては、モチベーション理論で言われる「外発」「内発」という観点で整理すればわかりやすくなると思います。金融機関や株主・債権者、研究者やコンサルタント、尊敬する経営者仲間からのアドバイスや新しい概念や手法の導入、さらに進んで外部から積極的に社外取締役、経営トップ、幹部の人材を求め血が濃くなりすぎないようにするという「外発」=外部の力を借りた外科的手法と、良き企業風土作りを実践し、その結果として社内が挑戦心に満ちあふれ、次々と新しい事業アイデアや仕事革新の手法が発案されてくるという「内発」=内部からの革新、自浄作用力を高め続ける内科的手法の二つがあるという整理の仕方です。

モチベーション理論で言われるように外発型は緊急対応などでは効果的であると言えましょう。そして内発型は理想的である上、組織の成員全員が納得すれば長く戦える強い体質づくりに貢献します。そして結果として人材の育成をベースにした継続的成長が実現していくはずです。日本の今おかれている状況から考えると今は、「外発」的手法を用いた変革と企業のあるべき姿、進む道を整理した3ヵ年の中期経営作りが重要でないかと強く思います。今、業績が停滞しているのは、以前よりも顧客を魅了しワクワクさせる製品やサービスの提供が実現されていないからと考えるのが正しいはずです。

業績が低迷し自信喪失、戦意喪失したりしている企業、過去の栄光にすがる古参社員の発言力が強すぎ若手改革派の提案が通りにくい企業などでは「内発」的改革は難しいことが多いからです。改革の前にまず意見が出ない、意見が通らない体質になってしまっているのです。意見が出ない、意見が通らない状態で経営計画を作っても計画実行をやり遂げる確率、成功させる確率よりもやりきれない確率、失敗する確率の方が多くなるはずです。人間は習慣を変えることが苦手な動物です。これまで通り、いつも通りやり続けるほうが楽だしストレスもないのです。しかしそのモヤッと不透明に見える状態の先に明るい未来が広がっていると信じて改革を進めていくことが重要なのです。

そこに到達するために忌憚のない意見がでる体質を作らねばならないのです。「外発」を担う人間が全員成果のみを追及し、社員の気持ちや精神状態を理解できないというわけでもありません。世の中には目先の損得だけではなく、中期的な視点での損得や顧客視点で損得以上の善悪に対する毅然とした倫理観を持っている方も多く存在するのです。変わることが難しい世の中だからこそ、変えていくことの難しさも、ポイントも理解した「変革のプロ」を交えた経営計画作りが重要なのではないでしょうか。自己満足、自己点検だけでなく第三者点検・評価も必要なのではないでしょうか。

船井総合研究所はどんな世の中になっても人が活きる、人が輝く会社であることが最も重要だという哲学を持って仕事に取り組んでいます。働く人がワクワクする新鮮なビジョンと実行可能性の高い経営計画、事業プラン作りにも今、多く携わらせていただいています。厳しい処方箋を出すことになっても最終的には健康・健全な企業づくりが実現できれば、われわれが「日本に1社でも多く元気な企業を作る」という目標が実現されていくことと信じています。

岡 聡
株式会社船井総合研究所 執行役員 上席コンサルタント
経営者・幹部様向け/流通業(メーカー・卸・小売)向け
入社以来、アパレルメーカーでの企画・製造・小売の総合的な知識に船井流マーケティングをドッキングさせ、ドラッグストア、ホームセンター、商業施設・商店街、食品スーパーなどの小売業の活性化、メーカー戦略、ブランド開発、商品開発、チャネル開発、新業態開発、営業部隊活性化、本社戦略・営業システム開発、マーケティング教育などをトータルに企画・コーディネートし、企業の経営企画をサポートしています。(経済産業大臣登録 中小企業診断士。日本商工会議所・全国商工会連合会 1級販売士。)