MENU
×

MENU

『顧客満足を高めることで、本当に利益は上がるのか?』

「顧客満足を高めることが大切だというのはわかるんですけど…なかなか利益には直結しないことがわかっているので、徹底させるのが難しいですよね」経営陣、幹部、あるいは現場を任されている方々も含めて、このような認識をしているかたが想像以上に多いようです。なかには、「顧客満足なんて一切儲からない」などと断言する人もいます。

確かに、顧客満足の定義を「商品やサービスのレベルを上げること」と捉えてしまうと、そういった勘違いを引き起こしてしまうように思いますが、果たしてそれは顧客満足を正しく理解していると言えるでしょうか。そもそも顧客満足につながる活動は、経済環境等の外部環境、事業特性、企業のおかれている状況によって当然変わるものです。これは、たとえ創業以来同じ事業をずっと継続しているとしても、時間の経過とともに、顧客満足を獲得するポイントが変わっている可能性が高いということです。

例えば、皆さんが一念発起して独立し、レストランを開業したと考えてみて下さい。開業コストは決して潤沢にかけられる状況ではないため、立地も一等地ではないといった条件下だと、開業と同時にお客さまが一杯とはならず、当初は来店していただいたお客さまにしっかりとしたおもてなしを施していくに違いありません。提供する料理に対する思いはもちろんのこと、なぜ開業するに至ったのかなど出来うる限りのコミュニケーションをとりながら、次回も来店していただくリピーターになっていただくべく、ホスピタリティの高い接客をしようと考えるのは当然のことです。

恐らく喜んでもらえるお客さまも多いでしょうから、この開業時点における顧客満足のポイントはホスピタリティ溢れる接客対応であり、KPIはリピート率やコミュニケーションの時間といった指標になります。さて、これが開業からの時間の経過とともに口コミ等で着実に商圏内の認知度が上がり、一見のお客さまの来店も増加、繁忙時間帯には行列が出来るようなお店になってくるとどうでしょう。当然ひとりひとりのお客さまに時間をかけるような状況でもなく、行列を作って待っているお客さまを一刻も早くお通ししなければ申し訳ないという意識も芽生えることだと思います。

よって、言葉を選ばずに表現すると「お客さまを早く捌いて、ひとりでも多くのお客さまに料理を提供すること」に比重を置くことになります。当然、顧客満足のポイントも、スピーディーなオペレーション対応に移行し、KPIも座席回転率や注文から料理提供までの時間といった指標に変えなければいけません。これらのことから顧客満足の定義は、単に「商品・サービスのレベルを上げること」という言葉で表現できるものではないことがわかってきます。

少し難しい表現になりますが、「企業と顧客との接点において、顧客がもっとも重視する要求事項を磨き上げること」といった意味合いの方がより近いように思われます。いずれにしても、スタート時点で間違えてはいけないのは、「顧客満足を高めることで利益が上がる」というロジックを疑ってかかって、顧客満足は意味が無いなどと考えてしまうことです。そのように考えた際には、顧客満足の部分の理解が不足していることこそを問題と捉え、顧客満足を高め、尚且つ売上利益につながる活動は何か、その答を見つけてもらいたいと思います。 

川原 慎也
株式会社船井総合研究所 上席コンサルタント
経営者・幹部様向け/攻めるPDCAマネジメント・顧客満足度アップ
外資系自動車メーカーにて営業、マーケティングなどを経験したのち、1998年船井総合研究所に入社。年商1兆円以上の大手企業から社員3名の零細企業に至るまで、企業規模や業態を問わず幅広くコンサルティングを行っている。 PDCAを切り口に現場の行動に変化をもたらし、企業を新たな成長のステージへと導くコンサルティングが近年高い評価を獲得。