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仕組みを構築しなければ営業の質は上がらない

営業業務を中心にしている企業の業績を向上させる上で、最も重要なことは「営業の質」と言えます。

営業の質を向上させるためには、業務のプロセスを明確化し、マネージャーが営業のターニングポイントを確認できるようにしておくことがポイントになることは比較的実感しやすいことと思います。

考え方としては別に目新しいものではなく、従来の業務においてはむしろ「当たり前」という部分ではないでしょうか。

しかしながら、この当たり前を徹底することが難しいことも事実です。実際の営業現場のチェックをしてみると、古典的な体力営業でしかなく、計画的な活動が存在していないケースをよくお見かけします。根性論や精神論もたしかに重要ではありますが、全体のばらつきを是正できなければ、営業部門として成功する確率は低下してしまいます。

営業マン全員が、自分の業務として一定水準の成果を上げられるようにするためには、仕組みの変更が必要なことが実は多いのです。スキル不足という問題も現場には数多く存在しますが、ボトルネックは推進の仕組みであるケースがたくさんあります。

個人のスキルは自ら望んだものでないと、効果的に成長させることは難しいものです。プロ野球選手の基礎トレーニング要素だと考え、最初に仕組みを再構築することをお勧めします。
仕組みを再構築することの第一歩は、ターゲット選定をきちんと実施することです。ターゲット選定は、「一定の基準に従って、企業リストの中から受注の可能性が高い法人顧客を選定すること」とになりますが、具体的な業務としては、手元リスト、会社四季報、インターネット、電話帳などの情報源から複数の企業をリストアップし、リストアップした企業の中から受注の可能性が高いと思われる企業をターゲットとして選定することになります。

これらを実施していく場合に重要なことは、「なぜターゲット選定をするのか」ということを理解することになります。ターゲット選定をした場合と、ターゲット選定を全くしない場合を想定していただくと理解しやすいと思うのですが、ターゲット選定を全くしないとしたら、かなり無駄な営業活動が発生してしまいます。

効率的に受注の可能性が高いと思われる企業を最初から狙いすましてアプローチをすることによって、行動の無駄を削減すると同時に効果的な活動ができるようにしていくのです。ターゲット選定をしっかりと行うことにより、受注確率が高くなる、攻略の糸口が見つけやすくなる、短時間で効率的に営業ができるといったメリットがあるので、是非実践していただきたいと思います。

実際の業務では、最初に「リストの確保」をしていきます。この場合、情報ソースであるリストは複数を用意し、それらを重ね合わせながら整理していくことをお勧めします。地元商工会議所リスト、インターネット情報、会社四季報など、色々なものを重ねていくことで、初期の整理をしていくことになります。

次に、そのリストを集約していくための基準を社内で話し合って決めていきます。受注の可能性が高い企業とはどのようなものかを、社内で話し合いながら選定基準を作っていくのです。このことによって、取り組みすべき企業とはどのような特徴があるのかを共有化していくことができ、結果的には営業担当者教育にも繋がっていきます。

リストアップが終わったら、対象企業のプロファイリングを進めます。取り組みをしていく上での基礎情報として、訪問する前に調べ切れることを全て記録します。このプロセスを実施する意味は非常に大きいのですが、記録することが仕事になってしまい、活用するシナリオが見えないと案外ルーズになりがちでもあります。

これを徹底することによって、実際の訪問時に相手に質問すべきこと、訪問時に調べるべきことが鮮明になるのです。また、訪問時に相手の商品に対する消費者としての感覚や、今注力している印象の強い商品などの共通話題も見つけやすくなります。

これらを定着させていく上では、顧客をベースとした基本攻略リストをフォーム化することで十分カバーしていくことができます。

大手を取引先にしている営業会社では、顧客カルテ様式のものに、調査項目が全て挙げられており、その項目に従って全てを埋めるまで訪問・調査を徹底するというやり方を取られています。フォーム化することで、全員が業務に対する共通の認識をもつことが可能になります。

これを会議の場でどんどん活用していくことが、定着の仕組みに繋がっているのです。世間一般に大量に出回っている営業強化プログラムは営業活動そのものにフォーカスしたものであり、「経験者による売るためのテクニック」になっているものがほとんどです。

営業マンにダイレクトに響く領域でもありますので、納得性は高いものなのですが、定着には至らないレースも多く見られます。例えば、講座受講後の一定期間はある程度の効果があっても、ほどなく元に戻ってしまうという経験をお持ちの管理職の方は多いのではないでしょうか。

これは、営業テクニックを理解しても、習慣の改善を定着させることが困難であることを示しています。一定水準の効果を持続させ、定着させていくには、仕組みの改善が必要なのです。
「人数が少ないからそんな仕組みは必要ない」と言われるケースもあります。企業トップが経験豊富で、営業マンを見ていると全てわかる規模の会社がこれに該当します。

しかしながら、毎日の営業活動の積み重ねを、全て理解することは非常に難しく、本人へのフィードバックを日々実施することを通じて「気づき」を与える時間が取り切れないことも多いのではないでしょうか。合理的に改善していく上では、仕組みを構築する方が定着させやすいのです。