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マクロ環境を見えづらくさせる「セオリー」という言葉

10月某日、筆者はクライアントのアパレル小売業の2014年春夏の反省会に出席した。業務改革を行いだして、約半年。その反省会は、その成果を確認し、課題点を導き出すために開催された。筆者が取り組んだプロジェクトはMD業務における、PDCAサイクルの導入であった。簡単に言えば、商品マスタのフラグを整理し、計画と実績を照会できるようにした。そのおかげもあり、今回の反省会では数字で語れる反省会となるはずだった。

しかし、細かな数字採取の仕組みにとらわれすぎて、大局を見失っていたことが判明した。

2014年は消費税増税という、一大行事もあり、3月の売上は駆け込み需要以上の売上を残した。成功要因としては、3月から4月に実用できる商材、コートの在庫を厚くしたことにある。在庫を厚くするにあっては、アイテムを広くするのではなく、アイテムを絞り込んだ上で在庫を厚くし、企画サイドも店舗サイドも売りきるという一体感が生まれたことが大きい。

5月までは、増税の影響も受けながらも、予算比をクリアしていた。しかし6月から、今までの好成績は嘘のように一転し、予算を4ヶ月連続でクリアすることができなかったのだ。確かに2014年はセール開始の6月末から、関東地方は週末が雨続きで客足が鈍ったことも影響したとは考えられる。しかし、5月までの勢い(特に増税による一般的な駆け込み以上の成果を3月は残した)を考えると、悪天候を全ての原因にすることはできなかった。

確かに外部環境の影響は、小売業は受けやすい。(特に服飾関係は……)だが、外部環境の影響を口にすると、全ての服飾はマイナス成長しかなくなってしまう。市場動向以上の成長や衰退をするのは、内部環境での成功と失敗が大きい。

部門マネージャーの発表によると、6月以降、売れる商材が無くなってしまったことが、売上減、客数減に繋がったのこと。その発表を受け、筆者の頭には、「?」しか浮かばなかった。マークダウンしなければ捌けないくらい在庫は残っている現状なのに・・・よくよく聞いてみると、商品が無かったということは、顧客目線で「今、着ることができる」商品が無かったということだった。確かに、3月の成功と6月以降の失速を結び付けるキーワードは「今、着ることができる」である。

しかし、従来までの服飾小売は春夏商品に区切りを付けていくべく、7月からセールを行うために、6月での仕入は絞っていく、または無くしてしまう。セールの位置付けは、あくまで在庫消化であるのだ。故に6月以降で、「今、着ることができる」商品となると、盛夏商品を越え、晩夏商品と呼ばれるものとなる。晩夏商品は現在に至るまで、服飾業界で嫌われ続けている位置付けだった。顧客も着るタイミングが分からず、購入を躊躇しがちになり、結果、在庫を残してしまうというものだ。

そこに落とし穴があった。晩夏商品は売れないと売り手サイドが勝手に決め付けていたのだ。この決め付けは20年くらい前から続けられてきた。服飾小売の世界では、今年の夏が猛暑だの、冷夏だのに細心の注意が図られる。(その議論の殆どが徒労に終わることが一般的であるが・・・)

確かにその視点は、重要な視点である。しかし20年前に比べると、夏はずっと気温が上がり、長くなっているという事実は議論されていない。10年前なら、盆明けからは海水浴はしない(してはいけない)とされてきたが。現在では9月に入っても海水浴客はいる。我々(筆者も含めて)は夏の高温化と長期化は無視して、20年前からのセオリーに従って、ビジネスを続けてきたのだ。マクロの変化を見落としていたのだ。なんと間抜けな話か。

そのアパレル小売業は来期から、晩夏~初秋の商品を強化してくことが、反省会で決定した。

その業界に長くいると、セオリーに捉われて、本当に見なければならない視点、しかも誰もが理解している視点、特にマクロの視点を見失いがちにある。一旦、セオリーに捉われずマクロの視点で、マーケットやフィールドを見直さないと、内部環境の抜本的な変革は起こせず、いつまで経っても、ミクロの外部環境のせいにしてしまう。少しでも、異変を感じたら、頭をまっさらにする必要性を痛感した。