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顧客は自社の営業マン

1.スイスという国のすばらしさ

2014年5月18日から24日にかけて、
船井総研主催のスイスブランド企業視察セミナーにて、スイスを訪問しました。

スイスに行ったのは初めてですが、率直な感想は、
「スイスよりも日本の方がはるかに魅力的」ということです。

確かにスイスの景色は美しいですが、日本の方が、海も山もあり、
四季の彩りも情緒深く、歴史的建造物・繁華街・温泉など訪問する場所もたくさんあり、
物価もスイスの2/3くらいと暮らしやすく、観光という観点からは、はるかに勝っていると感じました。

しかしなぜ観光競争力でスイスは1位、日本は23位と、
スイスの方が観光地としてはるかに勝っているのでしょうか?

もちろん、ドイツ・フランス・イタリアなどと陸続きであることによる交通面での利便性や、
マッターホルン・モンブラン・アイガーなど登山家を魅了する山の存在もありますが、
それ以上に、スイスに行ったこともない人を含めて誰もが「すばらしい国」と思っており、
そう思わせるスイスという国自体のブランディングの力が大きいと思います。

スイスを訪問すると、スイスの国民一人一人がスイスという国に誇りを持ち、
そこを訪れる人を歓迎していること、そして観光地の至るところで、
観光客を魅了するための試みを行っていることを感じます。
その一方で日本の場合、一般の人達の中には、外国人観光客を「ガイジン」として扱い、
道を尋ねられただけでも” I do not know”といって相手にしない人がまだまだいます。

これでは、いくらすばらしい国でも、観光客を魅了することが出来ません。

スイスはなぜ観光競争力で1位か?それは人口800万人にも満たない小国で、
かつ資源もなく、その一方でグローバル市場から富を吸収しているというスイスという
対外的に依存をせざるを得ないポジションにある国というバックグランドを背景として、
国民一人一人が観光客を大事にする姿勢が最大の原因だと思います。

そしてこのことこそがスイスと日本との、国そのもののブランディングの違いであると感じました。

一度スイスを訪問した人は、きっとこういうでしょう。
「すばらしい国だからあなたもぜひ一度訪問するべきだ」と。

2. スイス企業のすばらしさ

今回スイスで訪問した企業は、ネスレ、リンツ、ノバルティス、
オーデマ・ピゲ、ステューダー、IMD、ル・ロゼ、クリニック・ラ・プレリーなど、
スイスにある世界的なブランド企業ばかりです。

そしていずれの企業にも共通しているのは、「価格が高い」ことです。
なぜこれらの企業は、「高価格」で勝負できているのでしょうか?

その理由は今回の訪問で完全に明確になりました。
いずれも、その企業を一度訪問すると、その企業のことを宣伝したくなります。

リンツでは、チョコレート作りを体験しましたが、そのチョコレート作りの繊細さ、
かかる手間、そして出来上がったチョコレートのおいしさを体験したら、
その日から、私は人にチョコレートを薦めるならば、絶対にリンツです。

オーデマ・ピゲは300万~何千万円の時計を手作りで生産する企業ですが、
オーデマ・ピゲ訪問では、3時間かけて工房を見学し、
しかも何千万円とする時計を実際に手にとって見学しました。
なぜ何千万円もするか、完全に納得しましたし、オーデマ・ピゲのすばらしさを、
人に詳しく説明できるようになりました。

スデューターは工作機械の一種である円筒研削盤の世界トップメーカーですが、
自社の製品を購入してくれた顧客に対してたった一つのアンケートを行います。
それは、「ステューダーの機会を人に薦めたいと思うかどうか」。
そのスコアが低ければ、社長自ら顧客を訪問し、その理由を聞き、会社としての改善を行います。

訪問した企業には、自社の博物館があり、歴史や製品のすばらしさを伝えるための工夫があります。
そして、従業員一人一人が、自分の企業に誇りをもち、自社の製品を購入しないなんて、
考えられないと、心のそこから思っています。

その気持ちが、顧客にも伝わり、それが、顧客を営業マンに変えているのだと思います。

3.ブランディングとは

スイス企業にとって、ブランディングとは何か?

それは、「顧客を営業マンにすること」だと思います。

そして、ブランディングを行っているスイス企業は、
顧客を営業マンにするための様々な演出を行っています。
この取り組みは、マーケティングとも、プロモーションとも異なります。
「顧客を営業マンにする」ためには「演出」が必要です。

この点、製品の品質で勝負している我が国企業にとって学ぶ点は多数あります。

自社にとって最適な演出とは何か?

我が国企業も、それを考えることによって、
中国・韓国・台湾企業と価格競争するのではなく、
「高く売る」ことができるようになるでしょう。