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イノベーションを起こすための王道3パターン

■ 何か新しいことを!
日々、多くの経営者、経営幹部の皆様とお会いしておりますが、
最近、現業の見直しというよりも、新たな取り組みを始めたいという企業の方からのご相談を多く頂きます。

「市場が成熟を向かえている」ということが言われて久しい今、
「作れば売れる」、「並べれば売れる」という時代ではないなという感覚をお持ちの方も多いことと思います。

本業が順調に展開できている企業の場合は、こぞって新たな事業領域への挑戦(いわゆる新規事業)を模索しています。
本業に余裕がある訳ではない企業の場合でも、本業をより強化していく流れの中で新しい事業展開パターンを模索している企業は多いです。

■ まずはパターンを分けて考えてみる
そんな中、とにかく何か新しいことを始めなければならないという経営者や担当の方の焦りを多く目にします。
しかし、無闇に「何か新しいこと」を探すことは非常に物理的労力もかかり、
何より担当の方の精神力が削がれる活動ではないでしょうか。
ここでは、具体的な新規事業についてはお伝えできませんが、
新たな事業の展開を考え出す為の切り口について考えてみたいと思います。
(当然ですが、各社の展開している事業分野、保有している資産、抱えている課題は様々ですので。)
新しいこととは言え、いくつかのパターンに集約されるはずです。
それらを参考にしながら、各パターンごとに自社が可能なことはなにか?顧客に評価されることは何か?を考えていくと大きなヒントが見つかることでしょう。

■ 提供価値と対価のバランスで考える
自社のリソース、強みによるパターン分けもよく聞きますが、
今回は自社の商品、サービスの提供する価値とそれを取得する為の対価のバランスから考えてみたいと思います。
提供価値と対価のバランスで考えると、下記のようにパターン訳できると私は考えています。

【イノベーションのパターン】
1)これまで世の中にない全く新しいことを提供する

2)これまで比較的安価で販売されていたものを高級にして提供する
(これまで無料だったものを有料にする)

3)これまで比較的高級だったものを安く提供する
(有料だったものを無料にして提供する)

取得する為の対価というと価格で考えるとわかりやすいかもしれません。
場合に応じて、価格以外にも納期、労力、知識といった要素で考えてみることも必要かもしれませんので注意が必要です。

■難易度による優先順位
難易度という観点で考えると、上記のパターンは当然、世の中にない「全く新しいことを提供する」ことが最も難易度が高くなります。
この領域においてアイデアガ出され、かつ成功することはかなり確率が低いのではないでしょうか。
ここに挑戦していたのでは、イノベーションの確度と効率を高めるという本稿の趣旨に反します。

続いて、2)の安価なものを高級にすることと、3)の高級なものを安く提供するですが、より多くの企業においてという前提ではありますが、2)の安価なものを高級にすることの方が難易度が高いと考えられます。
ある商品やサービスを高級なものとして今まで以上の対価で提供しようと考えた場合、
商品の改良、あるいは開発に必要な技術力、あるいは新たな価値に気づいてもらう為の提案力や顧客との関係を深める為の関係構築力が必要になってくるでしょう。
企業の質的な向上が大前提にあるため、どの企業でも即座に取り組めるというテーマではないというのが私の結論です。

最後に、3)の「これまで高級だったものを安く提供する」というのが、最も取り組みやすく、
皆様にもチャレンジして頂きたいテーマだと考えております。
少し前に、一定以上の品質のイタリア料理やフランス料理、割烹等を割安価格で提供している「俺の」シリーズが評判になったのは記憶に新しいのではないでしょうか。
直近では、ペッパーランチを展開する株式会社ペッパーフードサービスが「いきなりステーキ」という立ち食いステーキの業態で繁盛しています。
こうした業態のポイントは、価格を下げて、質も下げるではなく、品質は維持しながら価格や敷居を下げて提供するという点にあります。
このバランスは、原価を圧縮するのではなく、立ち食い形式による高回転からくる客数により収益性をカバーするというオペレーショナルな工夫により実現しています。
皆様の周囲には、オペーれションの工夫によりこれまでお客様が注文しにくい、
購入しにくいと思っていたもののハードルを下げられる可能性はないでしょうか?

このテーマについては、単純に価格を安くするだけでなく、
これまでとっつきにくいと思われていた商品、サービスをより早く、あるいは知識のない人でも教授できるようにするとお考えいただきたいです。
実は、弊社が支援している成長企業も多くはこのパターンで成功しています。
(例えば、これまで購入に一定上の年収が必要であった戸建注文住宅を年収300万円以下の世帯でも購入できるように提供する住宅メーカーや難しく料金体系も明確ではなかった法務サービスを一般の人にもわかりやすくメニュー化している法律事務所など。)

今回は価値と対価のバランスでご説明しましたが、皆様も新しい事業展開を検討する場合には、
新しい事業とはどのようなパターンがあるのか?といった視点で検討頂ければ幸いです。
可能性を広く取りながら、具体的なアイデアへ落とし込みやすい議論の展開が可能になるはずです。