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営業のプロセスマネジメント[マーケティング戦略・営業戦略]

私どもの現場コンサルティングにおきまして、営業関連業務に関するご相談をいただくことが数多くあります。

最近は営業のプロセス改善に関するご相談が増えてきておりますので、今回は営業プロセスのマネジメント導入時における営業マンの反発ついてご紹介させていただきます。
ISO9001:2000ではプロセスを「インプットをアウトプットに変換する、相互に関連する又は相互に作用する一連の活動」と定義づけられています。(ISO9000 3.4.1)つまり、インプットに対して経営資源を活用し、価値を付加してアウトプットを生み出す活動はすべて「プロセス」と言えることになります。
営業業務におけるプロセスは、目標達成に至る道のりと言えるでしょう。

営業業務では常に結果を求められ、結果を評価されることになりますので、なかなかプロセスを理解したり、それに価値を感じていただくことは難しいかも知れません。

しかしながら、昨今の情勢では、計画と結果だけのマネジメントでは望まれる成果を出すことができなくなりつつあります。営業マンが変われないというお悩みを持つ企業の多くが、結果系のマネジメントに終始しており、プロセスそのものを変革しきれていないことが阻害要因になっているケースが数多く見られます。

過去の成功実績は、営業マンにとっては「自分の勝ち方」であり、それを変革するには大きな力が必要になります。言い換えると、従来の思考パターンや行動パターンは、ある部分経験値によって習慣化されているため、脱却できなくなっていることが多いものなのです。

これを是正・改善していくためには、まず営業マン意識改革が必要になりますが、実はこれが最大の難問であることが多いことも事実です。

営業マンで言葉の意味を理解できない人は基本的にいないのですが、行動に転写していくためには納得させることが必要です。「頭でわかっていても心が納得しないと人は動かない」と言われているように、それぞれの納得性を持たせることが非常に重要な要因になります。精神的な問題になりますので、これを完全にやり遂げることは非常に難しいと言わざるを得ません。

例えばベテランが変化に対して反発するなどがその代表例と言えるでしょう。

ベテラン(年配者)は業務そのものに対する慣れの問題があり、問答無用で反発することが多々あります。基本的に変化を好まず、改めて苦労したくないという気持ちが強いことがその原因です。つまり、変えなくてはならないという意識はあるものの、本音としては新たな付加がかかることを嫌っているのです。年上の部下がいる幹部の方に共通する悩みといえるのではないでしょうか。

このような場合には、変革の推進役にしてしまうという「すり替え方式」が有効な場合があります。新しいマネジメントにおいて、リーダーを担当させてしまうというやり方です。当然説得は必要ではありますが、最大の反発者を推進者にすることができれば、これほど楽なことはないでしょう。
このような考え方に基づいて、実際の現場で展開した事例をご紹介します。

ある販売系の会社で、ルートセールスを中心とした従来の営業スタイルを、新規開拓スタイルに大きく変化させる必要がありました。当然のようにこの時にもベテランが大反発しました。「既存のお客様のフォローが弱くなる」という言い方が主でしたが、恐らく本音としては「今更飛び込み営業活動などできない」というところだったと思います。

この時、ある支店の支店長がベテランに「あなたのお客様は自分が開拓したお客様でしたね。そのやり方を現在の若い人に教えてもらえませんか」というお願いをしました。ベテランの経験を活かして若手を指導するという大義名分で、彼を推進担当に据えたのです。ある部分冒険ではありましたが、最後はベテランも納得してリーダー役を引き受けてくれました。結果的には、最も変わらない可能性のあったベテランを中心とした改革が進み、この支店では新規の開拓に成功されたそうです。

この時に支店長は命令するのではなく、コーチングスタイルを意識してコミュニケーションを図ったそうです。

手法としてのプロセスマネジメントは注目されつつありますが、現場に展開する場合には様々な阻害要因があります。大切なことは、やりはじめたら最後までやり抜くという強い意思と、それを支える仕組みの構築になります。

それらを支えるコミュニケーション手法のひとつとして、コーチングを取り入れることがポイントになるのではないでしょうか。