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2020年日本の不動産価格・地価を大胆予想! 3分で読める人口予測と地価予測の概略

今回は、これから先の地価や住宅価格がどう変化していくかを考えてみたい。

“所有”しない時代だからこそ知っておきたい! 値下がりしない“資産マンション”が持つ6つのプレミアム」や
2012年こそ買い時か? マンション市場は盛り上がり必至!」では賢いマンションの見分け方という、
いわゆるミクロの視点で不動産・住宅について述べてきたが、今回はマクロの視点となる。

この手の内容を述べるとき、数式などを使ったとても難解なものか、あるいは預言者の言葉のようなものになりがちだ。

しかし、ここでは分かりやすさを念頭に置いて、3分程度でざーっと読んでいただけるものにした。
ただ、未来のことについては、書き手の主観が多少なりとも入るのはご容赦いただきたい。

まずは人口と住宅・不動産の関連を見てみよう。

■ 2030年ほとんどの都道府県で人口減少が始まる

改めて言うまでもなく、不動産価格・住宅価格は人口動態の影響を受ける。
そこに住む人が減れば、何か特別な付加価値がなければ、一般的にはそこにある土地の価値は下がる。

一般的に、建物そのものの値段はこうしたことに関係なく、仕様や使用材料などにより変わる。
しかし、マンションのように建物と地面(土地)の価値に厳密な区別がつきにくい場合は、土地と同じだろう。

人口の今後の推移は国立社会保障・人口問題研究所が予想している。

日本の人口は、第二次世界大戦の影響を除けば、明治以降ずっと右肩上がりで増え続けた。
しかし、1995年には15歳~64歳のことを指す生産者人口の減少が始まった。
生産と消費という社会の主役である層が減少し、社会全体の高齢化が進んだ。
そして、日本の人口は2005年辺りをピークに減少しはじめた。

欧米の一部の国のように外国からの移民を受け入れれば、いまのような深刻な人口減少を食い止められたかもしれないが、
移民の受け入れは、様々な問題をもたらすだろう。

そして、2020年――。日本はどうなっているのだろうか。

徐々に人口は減っているものの、社会の仕組みや経済、東京、大阪などの大都市圏の様子にそれほど大きな変化はないだろう。
ただし、すでに日本海側のいくつかの県や四国の県などで人口が大きく減っているように、
地方都市では人口が大きく減ると予想されている。もしかすると、県と県を統合するという話が現実のものとなっているかもしれない。

さらに、それから10年後の2030年。現在働き盛りの40歳の人は、58歳になる。そろそろ定年が近づく頃だ。
この頃になると、かなり大きな変化が起こっていることだろう。
なんといっても、東京を含めた日本のほとんどの県で人口減少が起こり、
秋田県などは現在から4割近くも減少すると予想されている。
世帯数も2015年の50600世帯をピークに減少が始まる。

■ 地方都市は下落止まらず。大阪も例外ではない

では、不動産価格・地価はどのような影響を受けるのだろうか。

はっきりと言えるのは、3大都市圏と沖縄を除く、地方各県・各都市の商業地の地価は、多少の上下はあれども値下げ傾向にあるということだ。
これらの地域の小売業は、相当厳しい経営環境になることは間違いない。
地方の住宅地は商業地ほどではないにしろ、地価が今よりも浮上する可能性は少ない。
ネガティブな予測であるのだが、先述したように人口減少に拍車がかかる状況では仕方あるまい。

次に3大都市圏の中で首都圏と関西圏がどうなるかを見て行きたい。

関西エリアは、近年大都市圏の中で人口減少がもっとも激しかった。
最大の理由は地方都市からの流入が少なくなったからだ。

かつては九州や四国エリアからの流入が多かったが、1990年代後半を境にその人々は首都圏へ向かってしまった。
都市部は地方よりも少子化傾向が強く、地方都市からの流入が少なくなると、すぐに人口減少に繋がる。もはや流入圏ではなくなっている。

その上、関西在住の人々の首都圏への流入が続いている。
これは様々な要因があるといわれているが、大手企業の本社が東京に移転したこと(会社登記上の本社所在地は変わらず、事実上の本社機能の移転も含む)に伴う人々の移動が増えているからだとも考えられる。

一方、滋賀県の人口や世帯数が伸びていることが取り立たされているが、これはかなり特殊な要因がある。
中京圏と関西圏のちょうど真ん中に位置することもあり工場誘致や増設などに伴う人口増でこうした傾向は長く続くことは考えにくい。
人口減少に伴う関西地域力の低下は続くだろう。

こうした状況下で、革命児として現れた橋下徹氏を中心とする政治家の方々がどう立て直すことができるのか。
おおいに期待するとともに、かなりの困難があると予想する。
なにしろ保守的な地域であり、「何とかなるよ」という楽観的な考え方の人々が多い。

それゆえ、関西エリアの不動産価格・地価の下落傾向は止まらないだろう。
新たな産業の進展も見られず、ベンチャー企業の著しい活躍も聞かない。
産業が再び活気を取り戻し、人口流入が増えなければ、橋下氏がどれだけ行政改革を行っても関西の不動産価格・地価が上昇する可能性は低い。

■ 首都圏も楽観できず。予想の3つのポイント

ここまでの論調から考えれば、首都圏エリアは前途洋々のように感じるかもしれない。

ところが、1月初旬に大きくメディアで報道されたように、千葉県では2011年の確定人口ベースで予測よりも7年も早く人口減少が始まった。
これは海岸線エリアの震災による液状化の問題や、内陸部の常磐線エリア(柏・松戸など)で高濃度の放射線が検出された「ホットスポット」の問題によって、人口流入数が減少したためということらしい。
千葉県が7年も早く人口減少時代に入ったのはショッキングなことだった。

しかし、首都圏全体で見ると流入数は最も多いことに変わりはなく、人口増は2020年代まで続く見通しだ。
この予測はおそらくその通りになると思うが、予想が裏切られることがあるとするならば、次のようなシナリオが考えられる。

人々が首都圏へ流入するタイミングで最も多いのは高校卒業の18歳から24歳のころで、
まだ親からの援助が必要な年代だ。地方の景気がさらに悪化すれば、親は物価の高い首都圏での生活を支えるだけの仕送りが厳しくなる。

子どもがアルバイトで稼ぐことで生活費を補うことも、景気悪化によるアルバイト時給の低下などが進み、厳しくなるかもしれない。
そうなると、首都圏でさえも人口減少時代に予想よりも早く突入するかもしれない。

首都圏の不動産価格・地価の動向を予測するのは他のエリアに比べて難しい。
人口流出入が激しく、目まぐるしく変化する都市環境よって付加価値が上下しやすいうえに、原因となる状況が読みにくいからだ。

とは言っても、予測するポイントは3つある。
[1] 人口流入・人口増が予想どおりなのか?

[2] 原発・震災がにどのくらい影響を与えるか。首都地震は起こるのか?

[3] 中国人富裕層の首都圏マンションの高い購買意欲が続くか?
中国人の動向を述べたのは、今後、大量の中国マネーが日本の不動産市場に押し寄せる可能性があるからだ。
中国では不動産バブルが終わりつつあり、すでに価格は下落基調にある。
中国人富裕層は本国での不動産投資を控えて、日本の首都圏不動産市場に目を向けているのだ。

■ 全般的に地方と都市圏ともに下落方向へ進む

筆者は2020年までに政府が大胆な移民受け入れ政策は行なわないと考えている。
また、そもそも出生率が急激に上昇するような即効性のある少子化対策は考えにくく、人口動態の大きな流れは変わらないと見るのが自然だ。

こうした見地から、2020年の不動産価格・地価を予想してみると、以下のようになるだろう。
◇ 地方都市の地価の上昇可能性は低い。とりわけ商業施設は上昇可能性は非常に低い。

◇ 関西圏は政治・行政改革だけでなく経済・産業改革(回復)が成功しない限り上昇可能性は低い(橋下氏の改革では経済・産業改革がポイント)。

◇ 首都圏の今後の不動産・地下状況は読みにくいが、大きく低下することはないだろう。中国マネーと不動産ファンドの状況しだいでは上昇可能性もある。

◇ その他、詳しく述べなかったが沖縄エリアは上昇の可能性がある(人口動態、中国マネー)。
ちなみに、歴史上、不動産価格・地価の状況と経済状況(例えばTOPIXや日経平均)の動きは、よく似ている。2020年の日本経済の予測が、そのまま不動産価格・地価の予測となると言える。

2020年まで、あと8年。

(この記事は2012/02/20に初掲載されたものです。)
(出典:ダイヤモンド・オンライン