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着工戸数激減と後継者問題で窮地に! 追い込まれた中小工務店の今後

■ 下請け・リフォームで一定の地位を築いていた中小工務店

地方都市の国道を車で走っていると、『○○工務店』 という看板をよく目にする。お客様が来て商談ができるきれいなスペースを確保している店もあれば、軽トラが店の前を占拠し、店はシャッターが下りているお店もある。車窓を眺めていると、そんな光景が見える。

かつては、大都市でも地方都市でも多く見られたこうした“町の工務店”の数がどんどん減少している。その原因は大きく2つに分かれる。仕事が減少し(受注できない)、あるいは利益がとれないということ。そしてもうひとつは「跡継ぎ」がいない、ということだ。

20年ほど前までは、どんな町にも工務店なるものは存在し、一定の地位を築いていた。それが今では大変厳しい状況にさらされている。

工務店というと、色々な工事に携わっているイメージがあるが、主に住宅に関する工事を請け負う企業をここでは指すことにする。もちろん社名に工務店という名前が入っていることもあれば、そうでない場合もある。

こうした企業の主な仕事は、新築住宅を直接または下請けとして建築することだった。直接受注に関しては、あまり積極的な販促活動を行わず、知人・紹介などのルートで舞い込んだ案件を受注していることが多い。であるから、1年間にそれほど多くの数をこなしているわけではない。もちろん、こうした工務店の中には大きくなり、建売会社として発展、上場した企業もある。

一方、それほど規模が大きくはない多くの工務店は、建売企業・ハウスメーカーなどの下請け企業として存在し続けてきた。そのため、彼らが積極的に営業する先はエンドユーザーではなく元請企業の担当者であった。

しかし、以前の記事でも書いたように、新築着工戸数は激減している。1970年ごろからどんな不況期においても100万戸を切ることがなかったこの数字は、2009年に80万戸を下回った。建売企業の中には資金繰りが厳しく、事実上廃業した企業もあり、また多くのハウスメーカーは事業のポートフォリオの再編を図っている。具体的には圧倒的中心に据えていた新築事業からストック系ビジネスへ転換させている。また、安さを売りにしたハウスメーカーの台頭もあって各ハウスメーカーも安価商品を投入した。

こうした影響を工務店はモロに受け、仕事が激減し、そしてまた安価な仕事つまり利益が少ない仕事が増えたのだ。これでは、たとえ小人数で経営している日々のキャッシュフローが小額である企業でさえも厳しい状況に陥った。

工務店の中には、こうした状況になることを予測し、来るべき時に備えて準備していた企業もあった。それは住宅リフォーム事業を本格化させることだった。工務店は、もともと積極的ではなかったが、知人・紹介案件などではリフォーム工事を請け負っていた。それを本格的に部門として立ち上げる、つまり積極的に受注しようと試み、販促活動も積極的に行ったのだ。こうした動きは1998年ごろから見られた。

■ 大手のリフォーム事業参入と後継者問題で窮地に追い込まれる工務店

あれから、10年。こうした工務店が立ち上げたリフォーム部門も今また、窮地に陥っている。

ハウスメーカーや建売企業は新築が売れなくなったこともあり、リフォーム部門に力を入れているからだ。将来を見込んで一足先にリフォーム事業を本格化させたにも拘らず、である。こうした状況の背景にあることは前回の私の記事でも書いたとおりだ。

さて、工務店が厳しい環境におかれている、もうひとつの理由。それは後継者の問題だ。今、多くの工務店が後継者の問題を抱えていると言われている。創業者の年齢が60歳を超え、そろそろ息子に会社を譲るような状況にあるのだが、肝心の息子さんは他の企業にサラリーマンとして勤務しておりその気がない。あるいは、自社で働いているのであるが、未だ後を継がせるには心もとない。そんな悩みを聞くことが多い。

こうした企業に共通することは、これからの事業戦略が描けていないことだ。それを現在の社長が描くことなのか、後継予定者が描くことかは企業によって異なるが、とにかく企業のドメインを明確にして向こう3ヵ年の経営計画を作る必要がある。

事業を継承することは、創業者にとってとても大きく、また厄介な問題だ。資産(負債含む)の継承ももちろんだが、社長業をいかに引き継ぐか、の方が大きな問題ではないか。このたび、こうした内容を住宅産業の企業を意識しながら『創業者を超える二代目経営者の成長ルール』という書籍にまとめた。

工務店という業態がなくなることはないと思う。しかし、今後さらに厳しい状況が待ち構えていることも間違いないだろう。

(この記事は2010/06/11に初掲載されたものです。)