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新築よりもリフォームが主流に!? 住宅リフォーム市場が熱さを増す理由

衛生陶器最大手企業であるTOTO社が4月20日に発表した2010年3月期の決算によると、連結最終利益が8億円の黒字(前期は▲262億円、予想値は±0円)となったようだ。

発表の際、その理由として決算期間の最終四半期である2010年1-3月の国内リフォーム関連商材が想定以上に伸びた事を挙げている。また、それに連動するように株価も好感触で推移している。また、ライバル社であるINAX社においても同様に、リフォーム向け商材が好調のようだとメディアが報じている。

住宅設備系メーカーは、国内での新築着工戸数の増加が見込めないことから、今後の主たる市場として国内のリフォームとアジア各地、そして、報道によるとTOTO社は欧州地域をも視野に入れているらしい(社長がマスコミインタビューに答え、欧州地域でのM&Aでの企業買収も画策しているようだ)。このように住宅リフォーム市場は年々拡大し、ますます熱くなっている。

■ 大手ハウスメーカーが続々進出。リフォーム事業で長期的に顧客獲得

さて、住宅リフォーム売上の上位企業には、大手ハウスメーカー系の名前がずらっと並ぶ(唯一の例外は“新築そっくりさん”でおなじみの住友不動産)。各社とも年々売上を伸ばしており、自社で建築した顧客に対して、うまくフォローしているといえる。

しかし、かつては新築住宅のアフターフォローとしてのメンテナンスと純粋なリフォームの線引きが付けにくく苦戦していた。リフォームの案内チラシやDMを送付すると、「それより早くメンテナンス(引渡し時からの不具合を修理)をしに来てください」という電話が何本もかかってきたという。

営業担当者が現状を把握して見積書を提出しても、「えっ、無償じゃないの」という反応も多かったようだ。また、新築住宅に比べ客単価の低いリフォームは社内でも軽く(?)見られていた。こうした状況に対して変革をもたらした原動力はハウスメーカー各社の「これからはストックビジネスが主流にならざるをえない」という危機感だ。

リフォーム市場を本格的に獲得したいと考えた各社は、商品力の強化に努めた。それまで持っていた20~30年で立て替えるというスクラップアンドビルドの発想をやめ、50年以上の補償を付け、安心して住める住宅の提供を始めた(定期的な有償メンテナンスは必要)。中には100年とうたっているメーカーもある。

また、無償メンテナンス・有償定期メンテナンスといった仕組みをあわせて導入し、長期補償を付与する代わりに、長期にわたって顧客接点を持つことになった。クレームから逃げる“売りっぱなし”を止め、正面から顧客と向き合うことで、そこで発生するリフォーム工事を獲得することにしたのだ。

築10年を過ぎたころにはどんな家でも、水周り設備はもちろん劣化を始めるし、内装や外壁にも痛みが目立ち始める。こうしたリフォーム工事の受注はこれまで、一般リフォーム会社に流れていた。それを取り戻した。

多くの一戸建て住宅保有者は本来、その家を建築した企業(ハウスメーカーや工務店など)にその家のメンテナンス(=リフォーム)をして欲しいと考えている。親しみもあるだろうし、なんといっても建物(=自身の所有する家)の事を一番よく理解していると考えている。

かつて実施したアンケート調査では、“初めて住宅リフォームをしようと考えた時に、真っ先に問い合わせるのはどういった企業か”の回答の上位は“建築した企業”“知り合い企業(近隣・知人・親類)”であった。

リフォーム工事はよほど大掛かりでない限り、仮住まいすることなく工事をする。つまり住んでいる状況の中に職人が入り込んで工事をするわけだから、見知らぬ企業は少々抵抗があるというのだ。それ以前に、問い合わせを行って見積を作成依頼するためには、状況調査(採寸など)が必要で、多くを占める室内の工事の場合その際にも家の中に営業担当者が入る。こうした状況から、人間関係が築けている企業に問い合わせるのだろう。

■ 高頻度・低価格工事の受注が「顧客の囲い込み」がカギ

このようにして、“本気モード”になった大手ハウスメーカーは至極当然のごとく、住宅リフォーム市場を占拠した。一方、日本において新築戸建住宅の過半数を建築している工務店・ビルダーはこうした仕組みを構築することができず、顧客の囲い込みを行いリフォーム需要につなげることができずにいる。

そして、1990年代後半に起こった住宅リフォーム立ち上げ・参入ブームの際に事業を始めた中小リフォーム店はかつての勢いを失っていった。しかし、その中において成長している企業もある。そうした企業に共通していることは「顧客の囲い込み」に成功している企業である。これらの企業の主たるターゲットは先に述べた工務店・ビルダーなどが建てた住宅だ。

リフォーム購買頻度と工事金額(顧客の支払い金額)の間には明確な関係がある。つまり、修理修繕といった金額の小さな工事は高頻度であり、大型増改築や水周り品の入れ替え工事などは、高額商品であるが低頻度である。顧客の囲い込みをうまく行っている企業は高頻度つまり低価格工事を、その専門集団(別働専門部隊)を擁して丁寧にこなし、そのうちに廻ってくる本格的なリフォーム業務である高単価工事の受注につなげている(修理修繕程度の工事ならば、初めて接点を持つリフォーム店でも心理的なハードルは低い)。

このように、加熱するリフォーム市場においては全国展開するハウスメーカー系が自分たちの立てた住宅については、そこから発生するリフォーム需要の大半を得ている。そして、それ以外の工務店・ビルダーの多くは顧客うまく囲い込みができず、自ら手がけた住宅のリフォーム需要の獲得ができていない。こうした住宅(非大手ハウスメーカー系戸建)は65%~70%程度あるのではないか。この層をどのような企業群が獲得するのか。おそらくその結論は3年以内に出るだろう。

その予測について、ここでの断言は控えておきたい。というのも、自民党政権の末期に作られ動き始めている「家歴書制度の導入」がどこまで進むかが大きなポイントとなるからだ。

(この記事は2010/05/14に初掲載されたものです。)