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新商品開発の留意点

こんにちは、船井総合研究所の濱野雄介です。今回は「新商品開発の留意点」についてお話させていただきます。

先日、ある電子部品メーカーにおいて、売上を今後5年間で1.5倍にすることを前提とした中期経営計画の打ち合わせを行なった際に以下のような2つの話題が挙がりました。

【1】新商品の開発には競合製品との機能性の詳細比較が必要だが、現状は厳密に製品比較できる体制になっていないという問題をどのように払拭するか

【2】新商品の開発ステップとして、どのような手順を踏むべきか

新商品の開発にあたり、このような議論になるのは当然ですが、中期経営計画策定の初期段階でいきなりこの議論に突入するのは若干問題がありそうです。

経験が浅いコンサルタントも、こうした現場の議論に巻き込まれて思わぬ落とし穴にハマってしまう傾向があります。
今回のケースでは、5年間で売上を1.5倍にしなければいけないという大きな目標を前提にしているため、会社の基本方針が決まっていないにもかかわらず「新商品の開発が必要だ」という事が社員の共通認識になってしまっています。

ここでは、当たり前の話ですが「大幅な売上拡大には=新商品の開発が必要である」と考えずに、「既存製品でどこまで売上をアップさせることができるか、そもそも既存製品は本当に限界値なのか」といった単純な疑問をまず検証すべきです。

検証した結果、新商品の開発が必要ないということであれば、上記の2つの議論は全く意味がありません。

では、仮に新商品の開発が必要となった場合はどうでしょうか?

皆様にも考えていただきたいのですが、【1】の議論に踏み込む前に、明らかにすべき事がまだ残されていることに気付かれると思います。それは一体何でしょうか?

もうお分かりかと思いますが、「新商品の売上を確保するためのキーファクターは何か」を掴むことが必要です。

販売チャネルやユーザーの動向を調査したら、製品の機能性に対する認識が薄く、新商品の売上は価格に最も左右されるとか、継続的に新しい製品を出しているメーカーに注目するといった傾向が強ければ、打ち手としてはむしろ低価格や高頻度の新製品開発を実現するための開発体制や営業体制のプライオリティが高くなるかもしれません。(もちろん競合製品との比較は重要ですが)

最初から「競合製品との機能比較が必要」という議論に深く入ってしまうと、売上アップのために最優先すべき打ち手が見つからずに、せっかくの中期経営計画が絵に描いた餅で終わってしまうリスクが高くなります。
今回お話した例は非常に単純なケースですが、現場では時間をかけて議論するよりも目に見える動きを重視するために、“議論する前に整理しておくべき情報”を飛ばして結論を導き出す傾向にあるということはご理解いただけると思います。

「そもそも、それって本当に問題なの?」とか、「その議論の前に、ちゃんと考えるべきことがあるんじゃないの?」といった疑問の投げかけにより、常に冷静な判断と深い思考を心がけたいものです。若手社員が斜に構えてこのような発言をすると周囲のメンバーに嫌われるかもしれませんが…。

濱野 雄介
船井総合研究所 プロジェクトマネージャー