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なぜ? 営業マンは顧客の本当のニーズをつかめないのか?[マーケティング戦略・営業戦略]

■ 8割~9割の営業マンは“押し売り”か“お願い”営業

コンサルティングという仕事柄、システム会社をはじめ多くの営業をうけたり、クライアント先の営業同行をしたりと営業現場に立ち会う機会が多くありますが、8割~9割の営業マンは、「自分の売りたいものを売る」という“押し売り”スタイルからどうしても、抜けることができていません。

顧客側は何を悩んでいて、どこにニーズがあるのか、どのように解決されたら嬉しいのか…、分かっているようですが、よく聞いてみると非常に表層的な理解に留まっているケースが多いといえます。つまり、顧客に自社の商品/サービスを買ってもらう“明確なストーリー”を持たないまま営業するので、結局は商品ありきの“押し売り”か“お願い営業”になってしまいます。

そのような営業マンは、顧客との関係づくりに走りがちです。足しげく通って、接待して、こちらに少しでも気を惹かせようと努力して、多くの工数をかけてようやく受注にこぎつけるというスタイルになります。

■ 今こそ新規受注のチャンス

しかしながら、そのようなスタイルも今回の不況で通用しなくなりつつあります。クライアント側が今までの付き合いよりも明確に自社のメリット(売上や利益)に繋がる企業を選択せざるを得ない状況になりつつあります。みなさんの会社でも、継続が当たり前だった既存クラインアントから受注単価が大きく低下したり、付き合い自体がなくなったりと、悪い兆候を肌で感じはじめているのではないかと思います。

特に情報システム子会社の方々から、従来の自社グループ内の受注が大幅に減り、外販比率を高める動きが必須になってきたという話がよく出てくるようになりました。

不況というのは、業界全体が衰退するのではなく、勝ち組はもっと勝てるようになり、負け組みはさらに厳しい環境になることを意味します。ただ、これを悲観的に捉えるのではなく、むしろ新規受注のチャンスと捉えるべきだと考えています。実際に、今までなかなか入り込めなかった企業も取引先を見直す動きに出始めているので、自社を利用する価値を伝えられるかが、今まで以上に重要になってくるといえるでしょう。

■ 捉えるべき顧客ニーズとは

ここまでの流れを一言で言えば“こんな時代だからこそ提案力を磨かなくてはいけない”ということになります。もう少し具体的に言えば、明確な顧客メリットを、顧客の納得できるストーリーを展開して、わかりやすく説明できるかどうかが、今まで以上に重要視されるようになります。

提案力を高める際に特に重要な視点はいくつか挙げられますが、ここでは「捉えるべき顧客ニーズのタイプ」について述べたいと思います。

みなさんも様々な場面で営業を受ける場面があると思いますが、ダメな営業の典型としては、以下の2つに大別されるのではないでしょうか。

【その1】全く顧客側の状況を確認せず、自社の商品/サービス説明に終始するパターン
【その2】顧客の状況を聞くが発展性がなく、顧客側からすると“尋問”されている感覚となるパターン

どちらも提案営業という観点からは失格ですが、これらで受注ができるとすれば、顧客がもともとその商品/サービスへのニーズ、購買意欲が高い場合です。

これを“顕在ニーズ”という言い方をしています。顧客自身で課題が整理されており、それに必要な商品/サービスを自覚しています。ここで勝負しようとすると、価格競争に陥ります(下図参照)。ある程度必要な商品やサービスの要件を顧客が定めているので、その要件を満たす中で最もコストが低いものを選ぶことになります。

282_2なぜ? 営業マンは顧客の本当のニーズをつかめないのか?[マーケティング戦略・営業戦略]

提案営業で大事なのは、顧客自身で課題が整理されていない“もやもや状態”を、“すっきり状態”(顕在化)にすることです(上図参照)。ヒアリングをしていると、様々な課題が出てくると思いますが、課題の因果関係や優先順位が顧客自身で整理されていないケースは意外と多いといえます。ヒアリングを通じて顧客と一緒に課題を整理し、本質的な課題要素を共有化するプロセスを踏めるかがポイントになります。これを“潜在ニーズの顕在化”という言葉で表現しています。

このプロセスで進められると、こちらで主導権を握ることができるので、競合他社との過度な価格競争に陥りにくい受注スタイルが展開できるようになります。トップセールスの方々は、このプロセスを自然に実践して、主導権を握った営業を展開しています。

少し昔になりますが、欧米のある研究機関が世界の様々な業界のトップセールスを対象に彼らの営業方法の共通要素を探った分析が実施されました。
その分析結果からトップセールスは特に潜在ニーズを引き出して整理するための質問の仕方に大きなポイントがあることが分かっています。

・「その課題によって誰が何を困っているのか」
・「その課題を放っておいたら、どのような事態が想定されるか(また、どのような問題が新たに発生するか)」
・「その課題はいつ頃から発生したのか、どのような変化によって生じたのか」
・「その課題によって生じる経済的なインパクトはどれほどか」
・「その課題を解決するのに、どれほどのコストや時間、労力をかけてきたか」

…など、「課題が何か?」を把握するための質問に加え、さらに課題の連鎖や構造、影響度合いまでを聞くことが分かります。ここで挙げたのは一例に過ぎませんが、このような質問を通して、「今、何を解決しなければいけないか」を整理して顧客と共有化するための質問テクニックをトップセールは持っています。

潜在ニーズを顕在化する営業スタイルをつくるにあたり、質問内容自体を定型化することは実用的ではなく無意味なことですが、課題の捉え方のレベルを組織内で一定にすることは、有意義なことと考えます。そのヒントは、自社のトップセールスの質問の仕方に大きなヒントがあるはずです。

今一度、自社の組織内で当たり前となっているニーズの捉え方について、再度見つめ直してみてはいかがでしょうか。
(この記事は2009年7月3日に初掲載されたものです。)