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環境と経済効果[マーケティング戦略・営業戦略]

昨年11月のパナソニックによる三洋電機の買収は衝撃的であった。丁度、サブプライム問題が表面化し、米大手証券会社のリーマンブラザーズが破綻して間もない時期である。

その後、世界規模で展開している大手電機メーカーや自動車メーカーの多くが業績を下方修正し、赤字に陥った。予想を上回ったかもしれないが、パナソニックの経営陣が当時、この事態を予想できなかったとも思えない。この様な情勢で、あえて大きなリスクを取ったのは、なぜだろうか。

三洋電機の創業者の井植氏は松下幸之助氏の義弟にあたり、パナソニックの創業にも関わり、その関係は深い。しかし、今回の買収はこの様な関係からというより、パナソニックの経営戦略からであった点が強いと考えられる。その理由は今後市場の拡大が期待される太陽光発電システムとバッテリーを三洋が有していたからであろう。
今回の金融危機で大きな打撃を受けた自動車業界ではハイブリッド車や電気自動車が今後の主力になると考え、開発競争が行われている。その際に重要なのがバッテリーである。パナソニックではトヨタとの共同出資会社パナソニックEVエナジーを有しており、電気自動車やハイブリッド車用のバッテリーを供給している。三洋電機の買収によって三洋が持つ技術力や生産能力が追加され、今後の拡大市場であるパナソニックのバッテリー事業の強化に繋がる。

三洋電機にとってもパナソニックとの関係強化には大きなメリットがある。特に家庭用太陽光発電の販売ではパナソニックのグループ会社であるパナソニック電工やパナホームはエンドユーザーと直結しており、今後の販路拡大に繋がる。また、現在、自動車用に供給しているバッテリーの性能が向上すれば太陽光発電と合わせたシステム供給も考えられる。

この様に金融危機の状況下でこの様な大きな決断をしたパナソニックは先見性があると言えるのではないだろうか。
他にも環境分野への投資に関して異なる事例を紹介しよう。

先日、あるツアーバスを運行している会社の広報担当者と話をする機会を得た。この会社ではバスによる都市間の交通網を整備し、リーズナブルな価格で移動手段を提供している。しかもただ安いだけではなく、顧客ニーズに応じて様々なバス内環境を整備している。

その中でも注目を浴びているのが、エグゼクティブシートである。今まで新幹線を利用していた層を取り込もうと考えられた企画であるが、予想以上の反響があり、予約が中々取れないそうである。

話がそれてしまったが、この会社では環境を重要視しており、カーボンオフセットの取り組みや将来的にはハイブリッドバスの投入も計画している。ハイブリッドバスと既存のバスを比較した場合、投資効率から考えれば既存のバスを使用した方が財務面でのメリットは大きい。しかし、この会社では環境意識の高い消費者の取り込み、若しくはCO2の排出が少ない鉄道に顧客が流れることを抑制するといった戦略を立てている。

この様に今後、益々企業による環境分野への投資が増えるであろう。
今回の世界規模での金融不況の影響で、投資による効果が見えにくくなっているものの、消費者の環境意識は既に高く、環境性の高い商品やサービスへのニーズが明らかに大きくなっている。

今回の不況が終わり、経済が好況に向かう頃には環境分野へ投資をした企業とそうでない企業では、大きな差が出ているのではないだろうか。