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世界が求める日本のコンテンツ[マーケティング戦略・営業戦略]

昨年より日本企業の海外市場進出をお手伝いしている関係で、最近では毎月海外出張が続くようになりました。

最近では上海、香港を中心にアジアの大都市で現地機業とのミーティングをする機会が増えてまいりました。ミーティングの合間にはコンサルタントという仕事上、かなり意識して市場の動きを観察しております。出張のたびにビジネスチャンスの種に出会うことも多いですね。

昨年の金融危機以来、世界中が一斉に不景気になったように報道されていますが、上海や香港の街中を見ると不景気の様子は全く感じられません。日本での報道を過剰に受け止めて現実を誤解するのは非常に危険なことだと思います。

その中でも、不景気とはまったく関係なく、日本が世界一の座を保ち続け、かつ世界中が求めるビジネスがあることをご存知でしょうか。それがサブカルチャーコンテンツビジネスなのです。
中国はものすごい勢いで発展してきました。今後も世界の生産市場をリードしていくことでしょう。一昔前は、粗悪な繊維製品くらいしか作れなかった中国が、今では電子部品、家電製品、自動車、産業機械と少し前の日本が世界に誇ってきた産業をどんどん凌駕してきています。そんなパワフルな中国の経済成長ですが、中国が絶対に(中国以外の他の先進国でも同様に)日本に勝てないのがコンテンツビジネスなのです。

一番わかりやすいので、マンガを例にとりましょう。日本では小さな子供のときからマンガを読み始め、大人になってもマンガ雑誌を読みながら通勤しているサラリーマンも決して少ないとはいえないでしょう。私の知り合いのアメリカ人は、通勤電車のスーツ姿のビジネスマンが熱心にマンガ雑誌を読みこんでいる姿を見て愕然としたくらいです。日本はこういったマンガに代表される文化的なコンテンツの面で圧倒的に世界をリードしているといえます。

マンガがヒットすればどれくらいのビジネスを生み出すかを考えてみましょう。まず人気漫画はアニメ化されます。通常アニメ化された番組はテレビで放映されることになりますが、この人気アニメの番組はテレビ局も視聴率を計算しやすい番組のひとつになります。こういった番組のスポンサーには玩具メーカーか食品メーカーと相場がきまっていますが、このスポンサーメーカーが間違いなく、アニメのキャラクターをつかった新商品を開発し市場に投入します。

「マンガ⇒アニメ⇒キャラクター商品」の三段展開はこれまでのヒット作をみてもまず例外なく当てはまっていきます。最近ではNATUTOやワンピースなどがいい例ではないでしょうか。

ここくらいまで来ると、すでに海外ビジネス展開の芽が出始めているのです。日本でのヒット作品はインターネットや日本への旅行を通してアジアの、そこそこ所得の高い家庭の子供たちに急速に広がっています。日本のアニメ番組をリアルタイムに海外で楽しめるサイトもすでに数多く出回っております。さてここから、海外でのコンテンツビジネスが開花する番がくるのです。

海外ではアニメ番組の吹き替えが始まります。これはひとつの国に限ったことではありません。韓国、台湾はグローバル化の第一ステップになりますが、最近ではイタリア、スペイン、オーストラリアなどは特にジャパンカルチャーを支持しているように感じます。本来共産国であるはずの中国も、いつの間にか日本のサブカルチャーを求める流れに乗ってきました。

大切なのはアニメ番組の輸出では終わらないことです。今、世界中でキャラクター商品が売り出されています。アニメの輸出では放映権など小さなものかもしれませんが、もっと大きな利益を生み出すのは商品化する権利(いわゆる版権)の輸出であると断言できます。

実は、香港や中国、台湾といったアジア市場ではこの版権の争奪戦が激しく繰り広げられております。今のサブカルチャーのグローバル市場は、マンガレベルでヒット作品を打ち出せれば版権が版権を生む世界に拡大していくのです。ドラゴンボール級の作品が世界中で稼ぎ出しているマーケットサイズは数千億円の単位になるかもしれません。
日本が世界に仕掛けるべきビジネスチャンスはこのあたりにヒントがあるのではないでしょうか? ミッキーマウスを生んだディズニーや、スパイダーマンを生んだマーベリックがアメリカの大企業であることと比較すると、日本のマンガの生みの親は、お世辞にも豊かな生活をしているとは言いにくい地味な漫画家です。この地味な漫画家が引き金となってカルチャー面でのグローバリゼーションが加速されているのです。

まずひとつは世界レベルで通用する漫画家の養成にあると思います。文革世代の親の教育で育った中国の若者からはしばらく日本のマンガコンテンツに匹敵する作品が出てこないと思います。そこで日本のビジネスチャンスがでてきます。

世界レベルでみれば、そこそこ豊かな環境で培われた日本人の感性を、外国人に教育するマンガやアニメのコンテンツつくりの教育産業は香港、台湾、中国ではまず間違いなくニーズが高いと考えられます。マンガやアニメの専門学校ができれば、それに付随して各種のデザイン学校なども必要になってきます。専門学校が充実すれば、学生むけのショップや施設が必要になってくるでしょう。

かつてはアジア市場をIT産業がリードしてきたように、これからはサブカルチャー産業がアジア市場をリードしていくことになると思います。だれもしらない中国の街で生み出されたマンガが、5年後には世界中の何十億人の子供たちのアイドルになっているかもしれませんね。家電、自動車に続く最後のグローバルチャンスの切札が実はマンガだったりするのです。