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ポジティブ情報を積極的に集める必要性

2009年は、「不況」という言葉で幕を開けた。21世紀になって初めての景気後退を迎えた日本経済は様々な課題を抱え、よたよたしながら歩いている。

今回の景気後退は2007年の後半からその兆候が見え始めていた。経営コンサルティングという仕事に携わっていると、そのことが少し先取りして見えてくる。特に、私が得意分野としている住宅・不動産部門ではそれが顕著だった。講演会の集まりが少しずつ悪くなり、研修などの仕事が徐々に減り始めた。
今回の景気後退は、バブルが崩壊した1990年以降では3度目の不況期となる。1991年~1993年、1997年~2000年、そして今回だ。これまでの2回では、企業は人員削減、無駄なコストカット、そして安い人件費を求めて多くの事を外注化することなどで、これを乗り越えてきた。

これまでの不況の回復の背後には中国の存在があった。1990年代は中国が徐々に実質資本主義化していく中で、その安い人件費を活用することができ、2000年以降は中国が日本企業の市場として発展したことが景気の支えとなってきた。また、1990年代後半以降はIT分野の躍進と淘汰があった。今回は世界的な景気後退であるから、これまでのように容易に底を抜け出すことが出来ないであろうと言われている。

一方で、「不況期こそ、チャンスだ」と言い切る経営者は多い。私のような仕事をしていると、このようなポジティブな経営者の方とお会いする機会がとても多い。

マス媒体の広告が出しやすくなった(安くなった)、これまでは中々採用できなかったレベルの学生が応募してきている、中途採用がしやすくなった、社員の定着率が上がった、外注コストが下がってきているなど、それほど先でないと予想している景気回復に向けて着々と準備している。特にベンチャー企業や中堅クラスの企業は、今こそ一気に成長する土壌を創るチャンスだと考えている企業も多いようだ。
これまでの歴史を振り返っても、不況期にはベンチャー企業の急成長が多く見られた。マスコミが発信する情報は、公表データに基づいているにも拘らずネガティブなフレームワークに形作られたものが多い。

特にコメンテーターと称する人々が安易に発言するコメントにとらわれていてはいけない。連日報道されるネガティブな情報に触れていると、悪循環の価値観に覆われていく。この価値観からいち早く抜け出し、「不況期こそ、チャンス」と考えた企業やビジネスマンこそが次の時代の勝ち組になれることは間違いなさそうだ。

「価値観を変える為に何をするべきなのか」を読者の皆様に提示して今回の締めくくりとしたい。

まず、「不況期に、これからの種を蒔いていた企業が次の時代を制してきた」という歴史的事実を認識すること。次に、ポジティブな情報の入手に努めること。ネガティブな情報ばかり口にする人のもとには、ネガティブな情報ばかりが集まる。逆にポジティブな情報を発信する人のもとには、どんどんポジティブな人が集まり情報も増える。

そして、今期最高利益をあげた企業はなぜ成長したのかをしっかりと分析する。ユニクロ、マクドナルド、オリエンタルランドなど情報が入りやすい企業も多い。新聞記事や雑誌記事などを丹念に読むと、好調企業の情報も多く存在している。そのような毎日を過ごしていると、必ず読者の皆様の価値観も変わってくるはずだ。

季節は春になった。もうすぐ景気も底を打つことだろう。

(この記事は2009/04/24に初掲載されたものです。)