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ラグジュアリー携帯電話、遂に日本へ上陸![マーケティング戦略・営業戦略]

皆さんは、4,000万円以上の携帯電話があることをご存知でしょうか?

フランスのジュエリー高級宝飾品ブランド「ブショロン」が150周年を記念して、ノキアの子会社である「VERTU(ヴァーチュ)」とコラボレーションして2006年に制作した高級携帯電話です。

ノキアはご存知の方も多いと思いますが、フィンランドに本社を持ち、市場シェア、約40%を持つ世界最大の携帯電話端末メーカーです。その子会社である「VERTU」は、ノキアのラグジュアル携帯部門として独立した携帯メーカー(本社と工場は英国のハンプシャー州)ですが、2002年の1月に高級携帯電話を世界で初めて発売しました。

1台が数十万から数百万円もする携帯電話が本当に売れるのかといった声が聞こえてきそうですが、この高級携帯電話が世界の各国で富裕層を中心に販売台数を伸ばしています。

昨年、ドバイを訪れた際、市内の巨大モールの中に入っている「VERTU」のストアーでスタッフに直接ヒアリングをしたところ、100万円以上の携帯電話が月に数台はコンスタントに売れているとのことでした。また、中国などでも着実に販売台数を伸ばしているようです。

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現在、「VERTU」の従業員は約450名、販売している国は50ヵ国、店舗数は、500店舗(高級時計・宝飾店、百貨店、VERTUブティック)を展開しています。

では、なぜこのような高価格の携帯電話が世界各地で販売を伸ばしているのでしょうか。それは、「VERTU」がこの製品を通して「宝飾品としての価値」と「携帯電話としての品質」の両方を高めることができたからだと考えます。

「VERTU」は、ノキアのチーフデザイナーであったフランク・ヌォーボー氏によって開発されました。そもそも「VERTU」の開発は、携帯電話と、時計や万年筆との間にクオリティのギャップを同氏が感じ、何とかこのギャップを埋めることで携帯電話を高級時計や万年筆などと同列に置きたいと考えことがきっかけでした。

この発想により、「VERTU」はラグジュアリー・モバイル市場の獲得を目指し、今ではその地位を確立しつつありますが、主に開発段階、市場導入段階において特筆すべき成功のポイントを見い出すことができると考えます。

開発段階において「VERTU」の解決すべき課題としては、「これまでの携帯電話市場と全く異なる新しい価値をどう創造するのか」ということでした。これに関しては、「VERTU」は、同業他社(携帯電話端末メーカー)ではなく、高級時計メーカーなどブランド企業への徹底的なリサーチを行うなどして、2002年の1月に最初の製品を市場投入するまでに1998年から4年越しの開発を行っています。

そのリサーチ、開発段階を経て、製品の市場導入にあたっては、以下の4つのマーケティングミクス政策をとってきました。

■価格:60万円~4000万円以上と通常では考えられない高価格帯
■販売チャネル:携帯ショップではなく、ブティックで購入(高級時計店等)
■プロモーション:世界の富裕層をターゲットに贅を尽くした販促
■品質・性能等:上質な材料により1台1台が宝飾職人の手作業による組立て

上記に加え、「ラグジュアリー」という視点からは、材料に世界最大の装飾用サファイアクリスタルの採用、電化製品としては初めてスイスのアッセイオフィスの貴金属品位認定の取得、フェラーリ社との提携、24時間体制でのコンシェルジュサービス、オーディオレベルの音質などを行ってきています。

これら一連の取り組みにより、「VERTU」が、「宝飾品としての価値」と「携帯電話としての品質」の両方を高めることができたことが、グローバル市場において販売を伸ばすことができた要因であると考えます。
昨年12月、ドバイに引き続き、中央アジアのキルギス共和国を訪問しましたが、その市内(ビシケク)でも「VERTU」の広告を見かけました。

キルギスという国は、中央アジアの国の中でもそれほど裕福な国ではないのですが、この国のどういった層が、この高級携帯を購入しているのか私としては大変興味があるところです。この2月に、再度キルギスを訪問する予定なので時間があれば実際のストアーを視察したいと思っています。

そして、この「VERTU」が世界で19番目の直営店として、2009年2月に銀座(銀座4丁目交差点付近)にフラッグシップストアーをオープンさせます。

244_3ラグジュアリー携帯電話、遂に日本へ上陸![マーケティング戦略・営業戦略]

日本で当初発売する予定の携帯電話の価格帯は、160万円~500万円ということですが、このラグジュアリー携帯が日本の市場に短期間の間に受け入れられるのか、多くの一流ブランドが辿ってきたようにそのブランド認知の確立に一定の時間を要するのか、もしくは受け入れられず、昨年末に発表されたノキアの携帯端末の日本市場撤退と同様の道を辿るのか。

皆さんはどう思われるでしょうか。