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格差社会に適応した政策[マーケティング戦略・営業戦略]

格差社会、下流社会が進行していると言われます。一億総中流と言われたのはいつの昔、現在は年収300万円以下が総人口の40~50%にも達するといわれており、今後も次第に増えていくと見られています。

昨年、社会学者の三浦展さんが書かれた「下流社会」(光文社新書、2005年出版)がベストセラーになっていましたが、ここでの「下流」とは、低所得者層の増加だけでなく、現在の団塊ジュニア(1970~1974年に誕生)以降の世代では、総じて生きる意欲が低いことが指摘されています。

これらの世代では、生まれたときから家電、自家用車、持ち家が普及し、「物」にあふれた生活が当たり前であったため、今更もっとこれ以上何か「物」がほしい、頑張って働いて生活レベルを上げたい、という意欲に乏しいのだそうです。

それどころか、この世代は年功序列や終身雇用制の崩壊したバブル以降の日本で青年期を迎えているため、「こつこつ頑張れば給料があがる」「頑張れば50歳までに誰でも部長くらいにはなれる」といった勤労観が瓦解。大企業でもいつ倒産するかわからない状況下で、むちゃくちゃな働き方をして体を壊すよりも、適度に仕事をして最低限現在の生活レベルが維持できればいい、リーダー・役職には興味がない、という考え方の人が増えているのです。

このコラムを読んでいらっしゃる中でも40代、50代以上の方からすれば情けなく歯がゆく思われることも多いのではないでしょうか?
さて、少し話は変わりますが、昨年のデフレ不況を受けて問題が浮き彫りとなった派遣社員の雇用問題―いわゆる派遣切りの問題について。これについても「正社員化すべき」との世論が高まる一方で、非正社員の中でも「正社員になりたくない」という考えの人が半数程度いることがわかっています。

私の周囲にも「正社員になりたくない」人がおり、理由を聞いてみますと「正社員は残業が多い、夜中まで残っても残業代がつかない、ノイローゼになっている人がいて大変そう」等、安定した収入はほしいけど、正社員の仕事環境があまりによくないから今のような正社員にはなりたくない、といった意見を多く聞いています。

派遣社員として働いていれば、生活に最低限必要なレベルは満たされているものの、いつ首を切られるかわからない不安を抱えている。一方で正社員になってしまうと、給料はもらえてもかえって仕事から受けるストレスが多く、自分の時間が持てない、役職にも興味がないというジレンマを抱えてしまう。

正社員か非正社員かに関わらず、「働きたいけど無理な働き方をしてまで責任あるポジションにつきたくない」「今の生活を守れればそれでよい」という価値観を一種の甘えや怠惰と見る向きもありますが、一方でこれらの考え方は彼らの育った時代背景に裏付けされてもおり、今後ますます増えてゆくものと思われます。
昨年3月にミレニアムリテイリンググループのロフトで、無期雇用を希望するパート・契約社員全員を正社員として雇用することが大々的に報道されました。現在のパート社員2650人のうち正社員を希望している2350人で、いずれも無期雇用を希望する人を労働時間に関係なく 正社員とするとしたものです。

現在一般的な「フルタイムの正社員」か「パートタイムの非正社員」かの二者択一では、何らかの事情でフルタイムでは働けない、あるいは働きたくない人は決して正規雇用されない。しかし安定した給料・雇用は確保したい。この問題を解決する糸口としてロフトの新制度の動向は非常に興味深いものです。

ロフトではそれまで全社員約3400人に対し、年間1700人が退社していく中で、スキルや習熟度が蓄積されていかない問題に直面したことがこの新制度の発端であったようですが、新制度導入により社員のモチベーションが上がり、売り上げが伸びてゆけば、総人件費の1割増は悪くない投資なのではないでしょうか。(実際にロフトでは、制度導入後のアンケートで「将来ステップアップしたい」という社員が導入前の30~40%ほどアップし、長期勤続希望者も増加したようです。)
金融危機で暗雲が立ち込める中、固定費の削減に目が行きがちかとは思いますが、今回の正社員化の道だけではなく、時代の流れを見極め社内に活気が満ちる政策を見直されてみてはいかがでしょうか。