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マクロ環境のリスクにどう対応するか

■ 今の世界的な金融不安や株安は「対岸の火事」ではすまない

ここ数週間の米国を中心とする世界的な金融不安とそれに伴う株価の低迷は我々にとって、もはや「対岸の火事」ではなくなってきました。

今朝(10月7日)のニューヨーク証券市場のダウ平均株価が369ドル安の9955.5ドルの1万ドル割れで閉ったのを受けて、日経平均も午前中、4年10ヶ月ぶりの1万円割れを経験。午後に入って若干反発し、317円19銭安の10155円で終値をむかえました。

円相場もドルやユーロに対して全面高の展開。今の段階で1ドル101円、1ユーロ137円の水準で、更に円高傾向に触れています。

実際、私がコンサルティングを担当させて頂いている不動産マーケットそのものが、これらの影響をもろに受けやすいという点もあるかとは思いますが、企業レベルにおいても実態として大きな弊害が顕在化し始めてきています。

例えば「住宅購入の際のローンがお客様につき難い」「マンションデベロッパーとゼネコンがお互い疑心難儀になっており、ゼネコン選定が進まない」「リプラスの破綻による賃貸保証会社の切り替えに手間がかかる」「融資の枠が厳しくなった」など等。

このようなマクロ的な市況の変化による事業への影響は予測が困難な上、自らの力では如何ともし難いもの。事業規模や、事業ドメインが拡大すればするほど、この影響は大きくなっていくものです。

企業の中長期の経営戦略や事業計画を策定する際には、このマクロ環境変化におけるリスクヘッジは避けては通れないものでしょう。ではいかにして対応するべきか。
■ 事業リスクをヘッジする事は事業構造を把握すること

一般的なマクロ環境の予測や現状把握には、経済学の専門知識を持って分析するケースが多いように思われます。経済アナリストなる人々は、まさにここが専門の領域になるのでしょう。(とはいうものの昨今のバブル経済などは、新古典派、ケインズ派のいずれのケースでも説明しきれていないようですが……)。

しかしながら、事業経営上必要な観点は、もっと実務に近い視点。つまり業界全体を大きく左右する外的環境の変化をいかに捉えることが出来るかという事です。それはつまり、事業構造そのものを客観的に把握することであり、その事業構成要素に影響をあたえる外的環境に因数分解していくという行為に他なりません。

例えば最近話題のマンションデベロッパーのケースを、現在の不況が続く理由とあわせて考えみると次のようになります。

「仕入れ」

言うまでもなく土地の価格(地価)は、基本的には自国の経済成長性との相関関係があるはずです。経済成長率が高まれば、地価、不動産価格も上がる。しかしながらバブルを経験した我が国においては、その基本的な理論にも注意が必要です。

今回の不況はマンションバブル、不動産ミニバブルよって実態(経済成長)以上に土地の取引価格が上がってしまい、それを購入したデベロッパーと、販売段階では崩れてしまったバブル、別の言い方をすれば実態経済を反映した消費者の購買力との間に、大きな差が生まれてしまった結果と言えるでしょう。

「施工」

ゼネコンが受ける施工単価は、資材単価、ゼネコン業界全体の動きなどに大きく左右されます。今回のケースは世界的な原油高による資材価格の高騰が、結果的に建築コストを大幅に増加させました。

原油価格の変動は今や世界的な投機マネーの動きに影響されるので、究極的には株式市場やその他の資産市場の動きも見ておく必要があるのかもしれません。

「販売・営業」

これはどの業界も共通だとは思いますが、潜在的な顧客がボリュームとしてどれくらい世の中に存在するのか。新築マンションの市場であれば、商圏の人口、世帯数、転入・転出率、民間借家率などなど。

また消費者の購買意欲の強さは結果的に現状の景気の良し悪し=可処分所得の大小に左右されます。今回のケースでは可処分所得の上昇が価格の上昇に追いつかなかったということです。

「ファイナンス」

金融機関の財務状況そのもの、または不動産業に対する融資姿勢に大きく影響を受けます。今回のマンションデベロッパーのケースは、言うまでもなくサブプライム問題に端を発した信用不安が、資金繰りに悪影響を与えているのです。
このように、事業構造を要素分解し、それらに影響与える外的環境に更に因数分解することによって、押さえておかなければならないリスクがある程度見えてくるのではないでしょうか。

急速かつ変化の激しい現代において事業戦略を構築する上で、大変重要な視点なのかもしれません。
(この記事は2008年10月8日に初掲載されたものです。)