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顧客が断れない提案 その秘訣とは(1)

こんにちは、船井総合研究所の小林昇太郎です。

数年前「The Goal」の翻訳版が出版されたのと同時に、短期間に成果を出す改善手法が製造業を中心にかなりのブームとなりました。

ただ、この本の内容からもTOCは製造業のためだけのものといった見方をされる方もおられますがそうではありません。TOCは業種、業態、企業規模に限らずあらゆる分野において成果を出すための改善手法となりえます。

最近では、TOCを提唱した、ゴールドラット博士により「バイアブルビジョン」というものも提唱されており、この定義については「4年前の売上げを、今年の利益額にすること」を目的として展開されますが、ここ最近日本でも、それを展開しているのではと思わせるような企業がいくつか出始めています。

例えば、11月13日付の「週刊東洋経済」誌に日立ツール株式会社(東京)のTOCを含めた営業戦略の取組成果が大きく紹介されています。

現在、多くの企業で人員削減、コスト削減といった改善策が積極的に行なわれていますが、営業についてはこれまでなかなかメスを入れられない言わば聖域になっています。いくら費用を削減してもそれは販売額の中のことでしかないためにいつか限界が見えてきます。ですから費用削減と並行して自社の売上を確実に上げていくことも重要事項となります。

記事によれば同社の今期売上高は前期比3割増、営業利益は43億と3倍近い伸びを見せています。営業利益に関しては2002年3月期が、9億8千万であったことを考えると、3年で4倍という伸び率を示し、また今期の営業利益率は21.5%と製造業としては驚異的な数字となっています。

また以前に取り組んだ工場のTOCによる改善により、同社の棚卸回転日数は2000年の56日から36日、代理店を含めた流通在庫も8ヶ月から2.4ヶ月に短縮され、代理店のキャッシュフロー改善にも大きな貢献をしています。

この特集では、同社がTOCの考え方を営業戦略にも活かしていることが報じられています。「加工費半減キャンペーン」と銘打って展開されている取り組みをビジネスモデル特許として申請し、それを営業マンが積極的に活用していくことで、これまでの「御用聞き営業」から「提案型営業」への脱皮を図り、顧客のメリットになる提案を自社営業マンが提案できる体制を整えています。

この顧客への提案では、「URO(Un-Refusable Offer:断ることが出来ないくらい魅力的な提案)」を常に顧客に対して提供していくことが重要です。

【URO:Un-Refusable Offer:断ることが出来ないくらい魅力的な提案】とは…

1. それは顧客の問題を完全に理解しており、顧客がお金で計れる価値に基づいてどれだけ儲かるかを明らかに理解できるものである。

2. 最良の提案とは顧客の顧客に対して問題解決をもたらすものである。

3. もしも、あなたが、あなたの競争相手以上に顧客に利益をあげさせることが出来て、そして、もしあなたの提案が顧客の問題を解決するか、顧客の顧客の問題を解決するならば、顧客は絶対にあなたの提案を採用する。

日立ツール株式会社においては、切削ツールを使うユーザーのコストに占める自社切削工具費の比率が5%に満たない構造に着眼し、「わずか5%の工具費を100円、200円値切って買うことが本当にユーザーのメリットなのか」という考え方が原点となっています。「安価な工具を使ってツール費用を削減する」よりは「高効率な工具を使うことで製造費を半減できる」ということを自社自身で検証し、それを顧客へも提案していくことで大きな成果を出しつつあります。

現在では100人いる営業マン全員がパソコンを持ち、ユーザーに対して加工費を半減させるためのデモンストレーションソフトを積極的に提案営業に活用し、またこの情報を新製品開発にも積極的に活かしています。

このように日立ツール株式会社では、TOCを通した改善活動から驚くべき高い成果を上げていますが、これらはどのようにしてもたらされたのでしょうか?

TOCには、ウィン・ウィンの関係構築が強調されますが、上記内容からも分かるように、最初に工場から始まったTOC活動が、営業、代理店、顧客それぞれに素晴らしいメリットをもたらしているのがよく分かります。部分的な改善でなく全体最適の視野に立った活動。まさにこれこそがTOCの考え方であり、TOCの進め方そのものなのです。

皆さんの企業ではどうった取り組みをされているのでしょうか。

<本記事は週刊東洋経済04.11.13号を参考にしています>