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【事例から学ぶ】根本原因を明確化することの重要性

こんにちは、船井総合研究所の川原慎也です。

懇意にしていただいているある会社の社長と食事をする機会があり、そこでこんな話が話題に上りました。
『川原さん、ご存知の通りウチの会社はすごく順調にここまで成長してきましたが、このままではいけないと思っています』その会社は、通信販売向けのある商品を事業の軸として約3年前に創業し、現在30億円の年商規模まで急速に成長してきた会社です。
『成長のスピードを加速させるため、中堅メーカーや商社からの資本(資金と人材)を受け入れるとともに人材採用にも力を入れてやってきましたが、結果としてどうも社員がバラバラに動いているのが現状なのです』
と、かなり深刻に悩んでいる様子です。
「何か具体的な解決策はお考えですか?」と質問したところ、『つい先日も広告代理店の担当と同じような話をしているときに、会社としてのCI(コーポレート・アイデンティティ)を確立することを提案されたのですが、その方向で考えてみようと思っています』ということでした。

この話を聞きながら私は次のように考えました。
仮に社員がバラバラであるという現象が、曖昧な戦略の方向性→ブランド戦略が確立していない→BI(ブランド・アイデンティティ)あるいはCIの不備ということを原因として発生しており、かつCIを確立することを解決策とした場合に曖昧な戦略の方向性を正していくことを前提条件として置くのであれば、何らかの成果を上げられる可能性はあると。
つまり、戦略が曖昧なために社員がバラバラで一体化が図れていないのが現状だとすれば、ということです。しかしながら、ご覧いただいている皆さんにもわかる通り、この解決策は複数の仮説をクリアすることを前提としなければ成立しないロジックであることが明確です。しかも、この会社の成長度合いから
も推察できる通り、戦略の方向性は明確だと思われます。であるならば、やはりCIの確立が解決策とはなり得ないというのが結論となります。

このケースで最も熟考しなければならないことは、社員がバラバラであるという“現象”を引き起こしている原因です。上記の広告代理店担当者は、社員がバラバラであることを“問題”と捉えて一気に解決策というステップで考えているのでCIに帰着したのだと思われます。というような感想を申し上げながら、社長の悩みを解決するためには一見すると回り道に感じるかも知れないけれども、まず原因を明確にすることが一番の近道になるということを提案して、コンサルティング契約を結ぶことになりました。

それから約3ヶ月経過しましたので、振り返ってみたいと思います。
まず、根本原因の明確化を目的にプロジェクトチームを発足させてワークショップを行なったところ、様々な現状が浮き彫りになりました。色々な経歴をもった中途社員が中心になっている中で、給与体系や評価の仕組みが確立されていないという不公平感からくる社員の不満。
組織がどんどん大きくなっていく中で、複数の部署が同じ顧客を狙って成果を奪い合うといったジレンマ。
なかでも最終的に根本的な原因としてあぶり出されたのは、事業そのものを成功させるための戦略は確かに明確なのですが、他社の資本を受け入れている関係からさまざまな思惑の中で動いており、企業としてのビジョン(どこに向かっていくのか)を明確にできないということでした。

明確にしなければいけないのは、社長自身がどのようなビジョンを持っているのか、それは資本を受けている他の企業と共有できるものなのか、共有できるのであれば会社の成長とともにどんな体制にシフトしていくのかといった部分です。
社長も『そこはわかっていながらも先送りしてきたところで突かれると痛いところなんだよ。今考えると3ヶ月前というのは、それは横に置いておきながら知らず知らずに進めやすい解決策を選ぼうとしていたんだな』と振り返っていました。

今回の件で痛切に感じたのは、トップといえども触れたくない問題があるということです。ただし、それが解決策への近道だと確信すると、その行動力は素晴らしいと感じます。とは言え、まさにこれからが正念場というところでもあるので、またの機会にご報告したいと思います。

川原 慎也
株式会社船井総合研究所 上席コンサルタント
経営者・幹部様向け/攻めるPDCAマネジメント・顧客満足度アップ
外資系自動車メーカーにて営業、マーケティングなどを経験したのち、1998年船井総合研究所に入社。年商1兆円以上の大手企業から社員3名の零細企業に至るまで、企業規模や業態を問わず幅広くコンサルティングを行っている。 PDCAを切り口に現場の行動に変化をもたらし、企業を新たな成長のステージへと導くコンサルティングが近年高い評価を獲得。