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BSCと戦略の策定・実行・定着(1)

こんにちは、船井総合研究所の小林昇太郎です。

今回は全社の経営戦略を具体化し、その実現に向けた計画を実行していくためのマネジメントシステムに関して考えていきたいと思います。
ある経営者の方からのご相談で、企業の短期的な売上追求と中長期的視点からの人材育成の間で悩んでいるという事例がありました。
その事例を整理すると以下のような一連の流れとなります。

①自分たちが目指す企業の成長を実現するためには、売上・利益といった数値的な目標が必要である。

②この売上・利益を達成していくためには、顧客満足を追求し、自社への顧客のロイヤリティを向上させなければならない。

③顧客の満足を追求し、自社へのロイヤリティを向上させるためには、今まで以上に付加価値が高く高品質な商品、サービスを競合に先駆けて提供していかなければならない。

④付加価値が高く、高品質な商品、サービスを提供していくためには、現在のスタッフの経験値、スキル、能力の向上を実現しなければならない。

上記の流れから、売上追求と人材育成といった一見矛盾したように思えることも、実は因果関係で結ばれており、企業を成長させていく上では双方に手を打っていくことが必要であることを説明させて頂きました。
この流れを理解した際によく意見を頂くことは、「日々悩んでいるマネジメント上の諸問題が頭の中でつながった。」「この考え方を導入すれば、現在の自社を良い方向に導けるイメージが持てる。」といったものでした。

ここでご紹介した考え方はBSC(バランス・スコアカード)という手法です。
おそらくこの手法の名前を聞かれたことのある方、実際に自社で導入をしているといった方もおられると思います。
このBSCは、従来の財務偏重型の経営管理から脱却し「財務の視点」「顧客の視点」「業務プロセスの視点」「学習と成長の視点」という基本的には4つの視点をバランス良くマネジメントしていくことにより、企業のビジョンと戦略を達成していくことを目的としています。
上記でご紹介した一連の流れにこの4つの視点を当てはめると、①が「財務の視点」、②が「顧客の視点」、③が「業務プロセスの視点」、④が「学習と成長の視点」となるわけです。
これら4つの視点において、それぞれの戦略目標を設定し、上記でご紹介した①~④の流れのように、4つの視点間における戦略目標を因果関係で結びつけることで、自社におけるビジョンと戦略を実現するためのロジカルな戦略マップを描くことができます。
例えば、「財務の視点」における戦略目標である「・・・」を実現するためには「顧客の視点」の戦略目標となっている「・・・」を実現しなければならない。そしてこの「顧客の視点」の戦略目標である「・・・」を実現するためには、「業務プロセス」の視点の戦略目標である「・・・」を実現させる必要があり、これを実現するためには、「学習と成長の視点」の戦略目標である「・・・」を達成する必要がある、といった具合に戦略目標間のロジックを構築していくのです。
そしてこの戦略マップの作成が完了した後は、各視点における戦略目標を実現していくための具体的な「施策」を考察していきます。
ただし、例え戦略マップにおける各戦略が因果関係で結ばれたとしても、これらのロジックおよび、施策が戦略目標に有効であるというのは仮説の上に成り立っていることです。ですから、BSCを作成してそれで完了ではなく、仮説を検証するための定量的な「評価指標」を設定することで、各戦略目標の達成
度合いを定期的にモニタリングし、仮説検証を行なっていくことが必要になるのです。
但し、このBSCの構築を含めて、多くの企業でうまく運用されていないのも事実です。これにはいくつかの主要な原因が見られます。
例えば、全社的なコミットが得られていない、戦略目標間における因果関係や評価指標の設定が不十分、全社方針と一致しない現場の取組み、といったことがよくあるケースです。
次回以降、BSCがうまく運用されない原因の整理と、具体的な解決策について考察していきたいと思います。