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【事例から学ぶ】チェーン店の出店戦略を成功させる理由とは?(2)[マーケティング戦略・営業戦略]

前回は、中堅量販店において、不振企業と優良企業の格差についてのお話をいたしました。
今回は、なぜそうなってしまったのか、そのプロセスについて、複数回に分けて具体的にお話いたします。

■事例1 大手企業系列の中堅量販店の場合
この企業は、親会社である電鉄業の子会社として誕生しました。親会社からトップマネジメント層は出向してきますが、部長以下のポストでの人事交流はなく、比較的独立独歩わが道を歩んできました。最盛期にはかなりの店舗数になり、地元での知名度も高く、ストアロイヤルティそのものは決して低くない企業です。
ただ、出店に関しては、親会社より紹介をうけた物件が中心でした。
鉄道駅高架下、駅ビルへの出店、親会社が開発分譲するニュータウンの中心区画への出店、大きな駅前再開発への出店・・・・。全国の鉄道系量販店はどの企業も皆同じような出店戦略をとってきたわけです。

量販店の立地は、大きくは生活型と都市型の2種類に分かれます。
生活型とは郊外型といってよく、幹線道路沿いに駐車場をかまえ大型店を開発し、豊かな品揃えでワンストップショッピング(1箇所で多くのものが手に入る)を実現する・・・というのが生活型量販店の目指しているところです。そのためには、大きな店を開発できる用地、採算分岐点を下げるための安い地価、広域からのアクセスを可能にするためには渋滞しない2車線以上の幅広い道路網、これらが整備されていることが条件となってきます。必然的に駅前立地や市街地立地を避け、郊外のバイパス沿いなどが対象用地として有望なものとなってゆきました。イオングループ、イトーヨーカドーグループなどがその最先端の店舗を開発しています。
一方で、都市型立地とは、大都市の駅前で高効率型の店舗を運営するというものです。例としてはヨドバシカメラさんのように、大都市の駅前で巨大店舗を構えるというようなパターンです。これについては、同種の都市型量販店どうしの競合の中でより優位に立つために、大きな店舗規模を得たほうが有利ということになります。駐車場はあったほうがいいですが、大都市の場合は駅に隣接していれば十分な集客が図れます。
このように、商売の方向性と目指す立地により優位性のポイントは若干変わりますが、いずれもより巨大であるほうが有利ということになるわけです。そして、この20年間、この巨大化競争は年を追う毎にエスカレートしてまいりました。

もちろん巨大であればそれですべてよいとはいえません。小さな規模の店舗を展開している企業においても、規模以外での競争軸を有していればそれなりの戦いができます。しかしながら、同質化された競争のなかでは、ほとんどの量販店がより規模の大きいものに破れていったというのが現実であります。

業態別に目指す立地は異なりますが、同質化競争のなかでは規模の大きいもの、立地の優位なものがより優位になります。ですから、企業の戦略としては同質化競争を避けるか、あるいはより有利な物件を入手するかの2つが戦略のキーポイントであったわけです。

しかしながら、この企業においては「店舗開発」という業務がさほど重視されていませんでした。
物件は親会社から斡旋をうける、その都度検討し出店するか否かを判断する・・・・そういう開発手法が定着していました。ですから、自ら戦略的に出店立地を定め、そのエリアで出店可能な土地を探し地主にアタックする・・・という積極的な出店開発をおこなうことはなかなかできなかったというのが実態で
す。その必要性を感じることもなく、店舗開発スタッフも最低限の人数で、複数の改装案件などと並行して作業は進められ、結果的に「店舗不動産のプロ」を育てることが出来なかったわけです。
さらに、出店を焦り、大型再開発案件に便乗して出店し、結果は大失敗したりと、取り返しのつかない失敗を何度か重ねることとなりました。その結果、債務が過大になり、経営不振になるという結果になったわけです。

流通業の業績の明暗は、このように出店の成否によって生まれてゆきます。成功の確信がもてない出店は見送る、しかしチャンスと見るや積極果敢に投資すべき・・・・出店開発は、流通企業にとって最も重要で最も難しい意思決定の縮図であるわけです。

しかし、一方ではこのような企業とは正反対に、企業規模は同等でも借り入れは少なく、毎年確実にキャッシュフローを生み出している優良企業もあります。
いったいどこが異なっているのでしょうか?
(つづく)

山本 匡(ヤマモト タダシ)
株式会社船井総合研究所 上席コンサルタント
経営者・幹部様向け/ショッピングセンター経営・ディベロッパー経営 船井総研における店舗開発・物件開発の第一人者。大型ショッピングセンター開発を中心とした、店舗・物件開発を多数手がける。ビジネスモデル構築を得意としており、開発業務を支援するのではなく、成功する事業構築を支援することを信条としている。 実務面では、マーケティング調査から立地選定、建築・内装計画、レイアウト、運営計画、コストコントロール等、SC開発の実務に精通。地元主導SCにおける多くの経験をもとに、タウンマネージャーとして、地方自治体や商工会・会議所、TMOにまちづくり事業への助言実績も多数。専門店の店舗開発・リニューアルも手掛けており、店舗だけではなく商品開発でも成功事例多数。