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矛盾と思われる経営課題を解決する具体的な考え方とは?

こんにちは、船井総合研究所の小林昇太郎です。

先日、あるクライアントの社長とお話をさせて頂いた際に出た話題ですが、その社長が次のようなお話をされました。

「矛盾したことを言っているかもしれないが、私自身は今の会社をこれまで以上に大きく成長させていきたいと考えている。そのためには現在の部や課に対して、日頃から課している売上予算といった定量的な数値目標だけでは企業の長期的な成長は見込めないので、会社として目先の売上のみに捕われることなく、少々獲得できる数値を取り逃がしてもスタッフ自身がスキルや能力、企業が提供できる付加価値を今後向上させていくために、現在において何が企業や自分自身にとって必要であるのかを考え、それに基づいて行動してもらいたいと思っている。しかし、これら短期的な数値と長期的に必要なことを同時にスタッフに考えさせ、行動させることは難しいですね。」

この社長が冒頭に仰られた「矛盾したことを言っているかもしれないが」ということについて皆さんはどう思われるでしょうか。

このお話を伺った際、その社長に「社長ご自身、本当に矛盾したことを言っていると思われますか」と伺ったところ、

「将来的な企業の成長のためには、日々の予算的な管理とあわせて、スタッフを含めて企業としての質の向上もはかっていかなければならないことは必要と考えている。しかし、これをどう現場のスタッフに理解させながら、そして自分自身も納得する形で実現をさせれば良いのか整理がつかない」

とのことでした。

上記の例に限らず、経営者や幹部の方とお話をさせて頂く中で感じることは、中長期的に企業として目指すべき方向性と、そこに到達するための必要な要素というものを経営者の直感とでもいうのでしょうか、無意識のうちに感じ取っておられる経営者、幹部の方が多いということです。

但し、その必要と思われる各要素が、ご自身の中でも整理されておらず断片的なものとなっているため、社内に対してもどう理解、納得させれば良いのかが分らず、たとえそれらを企業の成長にとって必要な要素として打ち出したとしても、社内の理解が得られにくいケースが多くなっているようです。

上記の事例では、「部や課に課される日々の継続的な売上拡大」と「更なる企業の成長に向けての(短期的な売上拡大だけではない)企業の付加価値を向上させるための中長期的視点に立った各人のスキル、能力向上への取組みの実施」の2つの取組みについて、日々の業務を遂行していく上ではこの2つの取組みが矛盾していると考えている経営者の事例を取り上げましたが、これを以下のように整理してみるとどうでしょうか。

●自分たちが目指す企業の成長を実現するためには、売上・利益といった数値的な目標が必要である。

●この売上・利益を達成していくためには、顧客満足を追求し、自社への顧客のロイヤリティを向上させなければならない。

●顧客の満足を追求し、自社へのロイヤリティを向上させるためには、今まで以上に付加価値が高く高品質な商品、サービスを競合に先駆けて提供していかなければならない。

●付加価値が高く、高品質な商品、サービスを提供していくためには、現在のスタッフの経験値、スキル、能力の向上を実現しなければならない。

いかがでしょうか。上記は簡略化して説明をしておりますが、ここで申し上げたいことは、日常業務を遂行していく上で、一見矛盾をしているように思えること(売上目標の追求と売上をある程度、度外視した経験値の向上等)であっても、それぞれの因果関係を整理していくことで、じつはそこには相関関係があり、自社としてもそれぞれに対して手を打っていかなければならないということを明確にすることが可能であるということです。

皆さんが考えられている、自社にとって必要な要素の相関関係を整理・明確にし、それぞれにおいて企業のあるべき姿に向けた定量的な評価指標や、そこに到達するために必要となるプロセス指標を設定しながら、全社でこれを共有・活用していくといったことも検討されてみてはいかがでしょうか。