MENU
×

MENU

【事例から学ぶ】顧客が断れない提案[マーケティング戦略・営業戦略]

こんにちは、船井総合研究所の小林昇太郎です。

今回は、「URO(顧客が断れない提案)」構築に関して、ある経営者とコンサルタントとの会話から、分かりやすく皆さんにURO構築の部分を御紹介したいと思います。多少文字数が多いですが、最後までお付き合いください。
(経営者)
「URO」というのはどういう意味なの?

(コンサルタント)
「URO」とは、アンリフューザブルオファーの略で、その意味は「顧客が断れない提案」ということです。つまり、今現在つきあっている顧客や今後、見込みのある顧客に対して、自社の営業マンの営業成果を大きく飛躍させるための、顧客への提案です。

(経営者)
どうすれば「URO」をうちでも作り上げることができるんだろうか?「顧客が断れない提案」には非常に興味をそそられるけど、本当にそういった提案を作り上げることが可能なのかな?

(コンサルタント)
もちろん御社においても「URO」を構築することは可能ですし、どのような企業であっても顧客をしっかりと理解することで、自社における「URO」を作り上げることは可能です。

(経営者)
本当?(少し疑い深い表情)我が社でも、営業には常に顧客のニーズを把握して、顧客満足を向上させるような業務を行なうように日頃から叱咤激励してるよ。

(コンサルタント)
なるほど。それでは、御社では順調に営業成果を出しているのですか?

(経営者)
いえいえ、営業成果が思ったように上がらないからこうやって相談に来てるんだよ。我が社の製品は、それなりに品質も高く、それを販売する営業部隊も頑張って営業活動をしているにも関わらずなかなか成果に結びつかないことが悩みの種なんだよ。一体どうやったら我が社の営業成果を上げることができるんだろうか? 新たに新製品を開発したり、新規の分野への進出などを検討したほうがいいんじゃないかな?

(コンサルタント)
いえ、これまでの多くのケースの場合、今言われたように新たな新商品を開発したり、全く違う分野への多角化などすることなしに、これまでの製品を販売していく中で「URO」を構築していくことは多くの場合で可能です。

(経営者)
それは本当?

(コンサルタント)
ええ。先ず「URO」を作っていく場合に重要なことは、本当に「顧客が望む価値」を自社として、しっかりと理解できているかどうかです。御社では如何ですか? 「顧客が望む価値」をしっかりと把握していますか?

(経営者)
「顧客が望む価値」か…。もちろん把握してるよ。競合他社に負けない品質や、価格設定もかなり頑張っているし。

(コンサルタント)
なるほど。確かにそれらも顧客が望む価値の一つかもしれませんね。但し、ここで明確にしておかなければならないことは、自社が「顧客が望む価値」として考えていることの多くが、実は真の「顧客が望む価値」ではないケースが往々にしてあるということです。本当の「顧客が望む価値」とは、簡単に言うと御社の提供している製品やサービスにより、御社の顧客の抱えている問題が解決され、その結果、顧客自身にどのような利益や利点がもたらされるかが明確になっていることです。

(経営者)
我々の製品やサービスにより、顧客の抱えている問題が解決され、それによって顧客自身がどれくらい儲かるかということ?

(コンサルタント)
そうです。

(経営者)
それであれば、先ほども言った様に、我が社の製品の品質は高く、顧客の満足は高いはず。また、価格もかなり協力させてもらっているので、その分、顧客も安く購入しているわけだから、儲かっていることになるのでは?

(コンサルタント)
なるほど。では、競合他社はどうでしょう。御社と比較して品質は劣っているのでしょうか? 価格も高いのですか?

(経営者)
そうだね…。品質的には、同等か我が社が少し上回っているところかな。価格は、競合他社がいくらで決めているのかははっきりとは分からないけど、我が社も良い線をいっていると思うんだが。

(コンサルタント)
しかし、なかなか成果に結びついていないのが現状ですよね。

(経営者)
そうだね。

(コンサルタント)
これは、御社だけでなく、業種業態を問わず多くの企業にも当てはまることなのですが、私が申し上げた真の「顧客が望む価値」が把握できていないことが、自社の営業成果を阻害している大きな原因になっていることが多いのです。

(経営者)
例えばどういったことなのかな?

(コンサルタント)
ある機械工具メーカーB社の事例ですが、それまでの営業は、ユーザーや卸業者を回って注文を取る「御用聞き営業」でした。このB社の機械工具製品の品質は高いものでしたが、常に顧客からの強い値引き要請により、それを受けざるを得ない状況であり、値引きに応えることが顧客のニーズに応えることであると考える営業担当者も多くいました。
しかし、この工具業界は自動車やIT業界の生産動向に大きく左右されるために、何とかB社として不況でも売れるビジネスモデルを作ろうということで、「URO」の構築へ向けた取り組みがスタートしたんです。活動の進め方は後ほど説明しますが、B社は、この一連の「URO」構築に向けた一連のステップを進めて行く中で、ある重要なことに気付いたのです。

(経営者)
へー。それはなんだったの?

(コンサルタント)
それは…「B社の顧客において、顧客内部の製造原価全体に占める加工費の割合は70%を占めている」「この製造原価全体に占めるB社の販売する工具費の割合はわずか5%程度」「ゆえに、顧客の購買担当者がB社から購入する工具費をいくら数百円単位で値切っても顧客にとっては大きな原価削減には結びつくものではない」

(経営者)
普段我々が行なっているような値下げが、結局のところ顧客のメリットにつながってはいないということ?

(コンサルタント)
ええ。むしろ、従来購入していた工具よりも、値段が高くても高性能な工具を使用することで、加工時間が激減し、結果として顧客の製造原価を半減させることができたのです。

(経営者)
なるほど。

(コンサルタント)
これが、結果的にB社の「URO」となったのです。つまり、B社の購買担当者の目先の工具費の値引き優先という従来の価値観から、多少高額なB社の製品を使うことが、顧客の工場全体の加工費を大きく削減することにつながるという、これまで顧客も気付かなかった新たな価値観を提供する「URO」を創り上げることができたのです。
この後、B社は、自社の営業担当者へのこの「URO」を顧客に提案営業していくための徹底した教育と、それに基づく全社を上げた顧客への理解を促進させる取り組みから、短期間での売上増と営業利益を3倍にすることに成功したんです。

(経営者)
一体どうやってB社は「URO」構築を進めていったの?

(コンサルタント)
B社は「思考プロセス」という手法を使うことで、「URO」を構築することができました。簡単に説明させていただくと、この手法を使うことで、現在、我々の周りで起こっている事象一つ一つの因果関係を紐解きながら、自社の「何を」「何に」「どのように」変えていくことが営業成果を上げていくことを可能にしていくのかを自社の顧客の視点にしっかりと立ちながら答えを導き出していったのです。
この手法は、「URO」の構築に非常に役立ちますが、あわせて、この手法を従業員の方々が使うことで、現在、各人が抱えている問題構造を明確にするという分析力や解決策を導きだす上での洞察力、創造的思考力をも向上させるという、御社が今後、継続して発展していくのに欠かせないスキルを身につけさせることができるんです。
また、この「URO」は、その構築に社員一人一人が直接的に関わっていくため、これまでなおざりになりがちであった「現場の理解・納得・共感」が得られ、それが社員のモチベーションと実行力の向上にもつながっていくのです。

(完)