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問題解決スキル1?好ましくない結果の抽出?

こんにちは、船井総研の川原慎也です。

私ども戦略コンサルティンググループのメンバーにもっとも必要なスキルとして重要視しているものに、“問題解決スキル”があります。おそらくどのような企業においても求められるスキルだと思いますが、個々人の経験や考え方によって全くアウトプットが異なってくるのが現状ではないでしょうか?
先日、ある販売会社の営業会議をオブザーブする機会があったのですが、そこではこんな議論がされていました。

本部長:「今年も上半期が終わったけど、予算対比90%を割り込むような厳しい状況だ。固めの予算を組んでいるはずなのに、どうなっているんだ。問題点をあげてどうすれば良いのかを考えたいと思う。」
課長A:「売上が下がっているのはもちろん、お客さまからのクレームが最近増えたように感じる、営業スタッフ1人当たりの生産性が落ちている、新規取引先をもっと増やすべき、等々問題点はたくさんあります。だから、ひとつひとつ解決していくしかないですよ。」
課長B:「お客さまからのクレームが増えてきたというのは、早急に解決すべき問題だから最優先でとりかかるべきではないですか。」
課長A:「私が言っているのはすべて我が社にとって重要な問題だから、優先順位を決められる範疇のものじゃないと思いますが・・・。」
課長C:「でも、皆さん日々の業務がある中で時間は限られているわけだから優先順位をつけて取り組むのが効率的だと思います。」

結局3時間にもおよんだ会議から出てきた結論は、「お客さまのクレームの中でも営業面の対応に対するものを減らすことが必要なので、その対策を次回までに検討すること」になりました。そもそも予算をいかにして達成するかというテーマだったことを考えると効果的な対策だとは到底思えません。しかし、実は多くの企業でこういった状況が見られます。このケースにおいてもいくつかの問題に気づいている方がいらっしゃるかと思いますが、今回は冒頭に述べたように問題解決のスキルについて考えてみたいと思います。

問題解決の理想的なステップは、【問題の抽出・整理】→【中核問題の発見】→【解決策の立案】→【解決策の有効性の検証】→【実行計画策定】という5つに分解することができます。なかでももっとも重要なステップが最初の【問題の抽出・整理】→【中核問題の発見】だと言えるでしょう。

このステップでまず考えなければならないのは、何のために問題を解決するのかという“目的”です。問題解決を考える際には、常にこの“目的”を見据えた上で話をしないと、大きなズレが生じてくることになります。よって問題を抽出・整理するということは、“目的”の達成を阻む問題を抽出するという理解に基づいて進めていくことが必要だということです。先のケースにおいても「予算計画を達成する」という“目的”を常に念頭において議論をしていれば、出てくる結論は全く違ったものになっていたはずです。
では、“問題”とは何でしょうか?通常の議論において“問題”という言葉の定義を共通のものにすることは置き去りにされていることが多いようです。しかし、この定義づけは必要不可欠なポイントです。ケースを見てもわかりますが、議論のなかに個人的な意見が混在してくると、整理がつかなくなってしまいます。しかしながら、個人的な意見もその根本を突き詰めると何らかの事実に基づいたものであることがわかります。よって、ここでは「好ましくない結果(事実)」を“問題”として抽出すべきなのです。『「好ましくない結果(事実)」=問題』という定義を全員の認識として共有しておけば、混乱することなく議論を進めることができるでしょう。

おおむね問題を列挙できた段階で、整理のステップに入ります。その際のポイントは、問題と問題とを因果関係で結んでいくことです。一見するとそれぞれの問題は独立して存在しているように感じるかもしれませんが、分析を進めていけば「Xという問題はYという問題を原因とした結果である」といった関係に気づくことができます。例えばケースの場合、「売上が下がっている」という問題に対しては、「営業スタッフ1人当たりの生産性が落ちている」という問題を原因として出てくる結果として考えられることがわかるでしょう。このように原因と結果の関係になる問題を結んでいきながら整理するのです。すると「売上が下がっている」に対する原因となっている問題(好ましくない結果)は他にもあることが見えてきます。そういった見逃している問題を新たに追加していきながら、すべての問題を因果関係で結んでいきます。結果として、誰に見せても納得する(せざるを得ない)ツリーを完成させることができるというわけです。

ここまで進められれば、そのツリーのなかでそれ以上結ぶことのできない問題を誰でも見つけることができるでしょう。それが中核問題です。理論上は中核問題を解決すれば、それにともなって発生している他の問題も解決できる(発生しない)ことになるので、そこに注力すればよいのです。

川原 慎也
株式会社船井総合研究所 上席コンサルタント
経営者・幹部様向け/攻めるPDCAマネジメント・顧客満足度アップ
外資系自動車メーカーにて営業、マーケティングなどを経験したのち、1998年船井総合研究所に入社。年商1兆円以上の大手企業から社員3名の零細企業に至るまで、企業規模や業態を問わず幅広くコンサルティングを行っている。 PDCAを切り口に現場の行動に変化をもたらし、企業を新たな成長のステージへと導くコンサルティングが近年高い評価を獲得。