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どうなる?プレミアムビール市場?

政府・与党が、ビール系飲料における酒税の具体的な税率見直しを、来年度改正では見送る方針を固めた。
このことを受け、現在のビール系飲料のトレンドである「プレミアムビール」の市場環境を追った。

■ビール・ビール類のマーケット縮小
前回、「PB商品を徹底研究(3)~ビール編~」に書かせて頂いたビール類市場をおさらいしたい。
日本のビール市場は2000年から2011年を見ると、販売数量は減少しており、また、発泡酒に関しても、2002年から縮小している。
2011年のビール販売数量に関しては、2000年の約半分となっており、総じてビール系飲料は消費されなくなってきていると言える。

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図をクリックすると拡大できます。

■なぜプレミアムビールはトレンドなのか?
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上記に記載している通り、最も消費量の多いビールには高い酒税がかけられており、これまでメーカー各社は第3のビールに力を入れてきたようだ。

しかしながら、メーカー各社の開発・販売競争が税率の低いビール類に偏っているのは問題だとして、「ビール」の減税と「第3のビール」の増税などの見直しを早ければ来年度中にも段階的に始める方針であった。

この「ビール」の減税と「第3のビール」の増税などの見直し案なども影響したことで、メーカー各社は高価格帯のプレミアムビールを強化していると想定できる。

そもそもメーカー各社は、「第3のビール」や「発泡酒」を、安さを求める消費者動向に合わせて、強化していたが、「第3のビール」や「発泡酒」を強化することで、単価の高い「ビール」が売れなくなり、自社の商品が自社商品を食い合うカニバリゼーションといった現象が起きていたはずだ。

また近年では、晴れの日など、これまでのビールよりも贅沢なビールを飲みたいという需要を取り込む上で、プレミアムビールの強化を行ってきたと考えられる。

■プレミアムビールにおける各社の動向は?
サッポロは、「ヱビスビール」を古くから販売しており、プレミアムビール市場を牽引してきた。
また、サントリーは1989年に「モルツ スーパープレミアム」としてプレミアムビールの販売を開始。現在では、「ザ・プレミアム・モルツ」として販売を行っている。

「アサヒ」と「キリン」には、プレミアムビールに目立った商品はなかったが、近年ではキリンが「グランドキリン」を2012年に発売し、アサヒが「アサヒスーパードライドライプレミアム」を2013年に発売している。

プレミアムビール市場に遅れて参入した「アサヒ」「キリン」の2社は、先行して参入していた「サッポロ」「サントリー」と戦う上で、考えられた商品戦略を実施していることが伺える。

【1】「キリン」が発売している「グランドキリン」は、サッポロ・サントリーが先行者として主に「缶」でプレミアムビールを販売していたために、容器を「缶」ではなく、「ビン」で商品化を実施。
またブランド化を図る上でチャネルを限定して、販売を行っている。販売当初はセブンイレブンのみで販売していたが、現在では商品ランナップを増やし、コンビニ毎に違うテイストのビールを販売している。

【2】「アサヒ」は、「アサヒスーパードライ」とほぼ同様なデザインで、缶の色をシルバーからゴールドに変えて、「アサヒスーパードライ ドライプレミアム」としてプレミアムビールを販売している。アサヒはノンアルコールビールの「アサヒドライゼロ」でも話題になったが、「アサヒスーパードライ」のデザインを軸に新たな商品を開発している。

■プレミアムビールのポジション
ここまでプレミアムビールについて書いてきたが、実はプレミアムビールに明確な定義は存在しない。世の中で一般的にプレミアムビールと呼ばれているものは、原料や醸造方法にある種のこだわりを持たせたプレミアムラインのビールでことである。

下記にビール類の「容量」と「販売価格」を比較してみた。

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図をクリックすると拡大できます。

プレミアムビールは当然ながら、ビール系飲料の中では最も高いポジションとなった。また海外ビールと同じポジションであることがわかる。

■市場環境を把握する(S→T→P)
今回のように市場環境を把握する場合に、我々のようなコンサルタントは自然とフレームワークを活用する。

今回はフィリップ・コトラー氏が提唱するSTPマーケティングと言われるマーケティング手法をもとに市場環境を把握した。
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皆様にも市場環境を把握する際には、上記のS→T→Pを意識しながら実施して頂きたい。