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ユーザーの声を直接聞く

前回のレポートでは、競艇ビジネスを例にあげながら、「狙うべき顧客はどこの誰か」(ターゲティング)についてお話をさせていただきました。今回は、ターゲティングの次のステップであるマーケティング施策立案の考え方についてお話したいと思います。

マーケティング施策の立案に関して、我々がコンサルティングをする際に最も重要視していることは、「ユーザーの声を直接聞く」ということです。ユーザーとは、BtoCのビジネスでは消費者のことを、BtoBのビジネスでは企業などの組織体のことを指しますが、どちらにおいてもユーザーの声を直接聞くことで、どのようなマーケティング施策を実施すべきかについて、適切な“答え”を導くことができます。
まずはBtoCのケースを考えてみたいと思います。

例えば、パチンコホール業界。パチンコホールがマーケティングの強化を検討した際、どのような施策が考えられるでしょうか。

集客するためには、チラシをまいたり、駅前でティッシュを配ったり、店頭でイベントをしたりするでしょう。また、店内での満足度を上げリピート率を上げるためには、当たりを出やすくしたり、接客のレベルを上げたり、景品を豪華にしたりするでしょう。では、その中で最も効果が高い施策、つまりユーザーが最も重視しているものは何でしょうか。

正解は、「当たりが出たときに玉を入れる箱を素早く持ってくること」なのです。しかも、「ユーザーがストレスを感じない時間は○秒まで」ということも分かっています。

なぜこのようなことが分かったかと言うと、それは「ユーザーの声を直接聞いた」からです。実際にパチンコを遊技しているユーザーに対して、「パチンコホールを選ぶ際に重要視すること」「同じパチンコホールにまた行きたくなる理由」などを徹底的に聞くことで、先ほどの“答え”が明らかになったのです。
次にBtoBのケースを考えてみたいと思います。例えば、オフィスビル業界。

駅前などの好立地にオフィスビルを保有していることから、ハイエンド・高級オフィスとして貸し出している、ある企業がありました。ところが、入居するテナント(企業)が見つからず空室率が継続的に高い状況にありました。その企業の課題としては、どういった客層をターゲットにすれば良いか分からない、というものでした。

そこでその企業は、「ユーザーの声を直接聞く」ことで課題の解決を図ろうとしました。ここで言うユーザーとは、自社のオフィスビルに入居している既存ユーザーになります。既存ユーザーに対して、自社の物件に入居した理由や、自社の物件の競合他社物件に対する優位性などを徹底的に聞いていきました。

そうすることで見えてきた“答え”は、「外資系企業とコールセンターをターゲットにするべき」、と言うことでした。なぜなら、実はこの企業が評価されているポイントは、駅から近いことによる利便性であり、本国からエグゼクティブが来社する際に利便性を考慮する外資系企業と、女性従業員の雇用のしやすさを考慮するコールセンターからの評価が高かったのです。

自分達で認識していた自社の強みと、ユーザーから認識されていた自社の強みとが異なっていたため、自社内だけで検討しても“答え”は導き出せなかったのです。

最終的に出てきた“答え”を聞くと、「何だ、そんなことか」とお思いになる方もいらっしゃるかと思いますが、この“答え”にはなかなか辿り着かないものなのです。しかも、その業界に長くいらっしゃる方やその企業での経験が豊富な方ほど、その傾向にあるようです。

固定概念や過去の成功体験にとらわれているせいか、ユーザーが最も求めていること、最も適切な施策が見えていません。しかし、「ユーザーの声を直接聞く」ことにより、誰もが納得し、そして成功確度の高い施策が浮かび上がってきます。
もう一つケースをご紹介したいと思います。

皆様が従事されているビジネスで、「市場が良く分からない」、「市場規模がそもそも把握できない」、「どんな人が利用しているか分からない」という状況があるかと思います。そういった状況でも、「ユーザーの声を直接聞く」ことで市場が見えてくることがあります。

例えば国産紅茶市場。国産紅茶は、昭和30年代頃までは年間1,500トン以上生産されていました。しかし1971年の紅茶輸入自由化以降、みるみる生産量が落ち込んでいき、一時、国内の紅茶生産は壊滅状態となりました。

しかし近年になって、いわゆる「こだわり派」のような人が国産紅茶に注目するようになり、少しずつ市場が回復しています。すなわち、非常に特殊な市場であり、統計資料などは一つも無い市場なのです。果たして、この国産紅茶市場の市場規模はどの程度あるのでしょうか。

実はこうした場合であっても、「ユーザーの声を直接聞く」ことで、明らかになることは多分にあります。例えば、「紅茶を良く飲む人のうち約3割は国産紅茶を飲む」や、「国産紅茶を購入する人のうち約8割は量販店・スーパーで購入する」といったことが明らかになります。こうした情報を積み上げていくことで、市場規模の算出も可能になるのです。
我々がコンサルティングをする中では、大きく分けて3つの手法を行うことが多くなっています。1つ目は郵送によるアンケート調査、2つ目はグループインタビュー、3つ目はインターネットを使ったアンケート調査です。それぞれの詳細についての説明は割愛させていただきますが、目的や内容、それに使える予算などに応じて、それぞれの手法を使い分けています。

読者の皆様の中で、もしマーケティング施策の立案に課題を抱えていらっしゃるならば、「ユーザーの声を直接聞く」という原点に立ち戻ってみてはいかがでしょうか。