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『PDCAが回らない本当の理由とは!』【3】

しかしながら、この「“何”を変えるのか」という問い掛けに関しては、「組織が晒されているあらゆる問題を網羅的に捉えた上で、それらの問題を因果関係で構造化する」という作業を実施しないと、「現在の結果は今このような“状態”にあるからだ」という“状態”の定義が出来ません。

「経験の浅い営業マンの生産性が低い」→「だから鍛えるべきだ」、「だから配置転換だ」
「間接部門の人件費が増えている」→「だから人員削減だ」、「だから残業の禁止だ」

これらのように、断片的に問題を捉えて対策を打っても、得られる効果は限定的になってしまいますし、ややもするとせっかく打った対策が、別の問題を引き起こすきっかけにならないとも限りません。会社が大きければ大きいほど、より効率的に仕事を回すべく組織の役割分担が進んでおり、各部門がそれぞれの立場と視点でのみ問題を捉えようとしても自ずと限界があるわけです。

だからこそ、組織全体という視点で「“何”を変えるのか」を明らかにするためには、各部門のキーマンが一同に集って議論を尽くすことが必要不可欠になります。難しいのは、まさにこの場面を指しています。自らが部門を代表し、他の部門を代表するメンバーがいるようなミーティングに参加することを考えた場合、皆さんであればどのような姿勢で臨むでしょうか。

「ウチの部門が矢面に立つような状況は作りたくない」
「ウチの部門は皆頑張っているから、問題があるとすれば○○部門だ」
「こういった話は経営陣がすれば良いのであって、自分たちの範疇ではない」

これらが、私が直接お話を聞いてみた部門のキーマンの方々の生の声です。つまり、会社として重要な取り組みだからキーマンの皆さんからの忌憚の無い意見を聞きたい、などと訴えたところで、建設的な議論には到底ならないということです。得てして、この中でも比較的声の大きいかたの意見に引きずられることになってしまい、声の大きいかたの思う落としどころで、実は多くが納得していない、なんてことになってしまいます。

このような場面で、コンサルタントとして私が意識しているのは、「“何”を変えるのか」を明確にする場においては、コンサルタントとしての振る舞いを極力消し去って、ファシリテーターとしての振る舞いに徹底するということです。

その違いは何かと言うと、コンサルタントとしては自らの知識と経験をフルに活用しながら、向かうべき方向性をいくつか提示し、どちらかと言うと、自分の考えている結論への合意を得るべく、論理構成を組み立てるようなことを常々やっていますが、ファシリテーターとしては、あくまでも皆さんの意見を引き出し、事実の整理を手伝いながら、皆さんが自ら結論を導き出したという感覚を持てるところまで、しっかりと寄り添う意識になります。

「“何”を変えるのか」(スタート)が明らかになるというのは、つまり、問題の構造(業務プロセスの悪循環)が明らかになることであり、自ずと「“何”に変えるのか」(ゴール)という“あるべき姿”(業務プロセスの善循環)がイメージできることに繋がります。よって、あとは「どうやって変えるのか」という計画を作り込むだけというステップに移行するわけです。

拙著において、PDCAマネジメントの成否は、P(計画)の作り込みで90%決まると申し上げている理由はこういった点があります。是非、意識的に取り組んでいただきたいですし、より効果的かつ効率的に推進するファシリテーターの活用も視野に入れてみて下さい。

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川原 慎也
株式会社船井総合研究所 上席コンサルタント
経営者・幹部様向け/攻めるPDCAマネジメント・顧客満足度アップ
外資系自動車メーカーにて営業、マーケティングなどを経験したのち、1998年船井総合研究所に入社。年商1兆円以上の大手企業から社員3名の零細企業に至るまで、企業規模や業態を問わず幅広くコンサルティングを行っている。 PDCAを切り口に現場の行動に変化をもたらし、企業を新たな成長のステージへと導くコンサルティングが近年高い評価を獲得。